第5回
RFIDプラットフォームの相互接続運用に向けて
林 慶士
株式会社NTTデータ
第一公共システム事業本部
公共統括部
課長代理
河西 謙治
ビジネスイノベーション本部
ビジネス推進部
課長
2006年10月12日
WebがWeb2.0へとシフトするのと同様に、RFIDもRFID2.0へと進化する可能性を秘めている。標準化されたRFIDの仕様や開発事例を引きながらRFID2.0のポテンシャルを探る(編集部)
これまで4回にわたって、RFID普及期(=RFID1.5)の特徴である「あらかじめ合意した複数の企業が、最適化や効率化のためにRFIDにひも付く情報の収集・管理を行う」事例や「RFIDの高機能化がもたらすソリューションの高付加価値化」の事例を見てきた。
今回はさらに進んで、不特定多数のRFIDプラットフォームが現れ、これらがお互いに連携していくと想定されるRFID革新期(=RFID2.0)のための技術開発にフォーカスを当てる。
具体的には、企業系列ごとや業界ごとといった単位で、異なる標準を採用しているRFIDプラットフォームが多数現れ、これらが相互接続される際に生じると想定される技術的課題の克服に向けた研究開発と実証実験の取り組みについて紹介していくこととする。
「電子タグの高度利活用技術に関する研究開発」とは
NTTデータでは、2004年度から総務省の研究開発プロジェクトである「電子タグの高度利活用技術に関する研究開発」に参画している。このプロジェクトは、電子タグを高度に利活用する際に想定される、
- シームレスなタグ情報管理技術
- 相互変換ゲートウェイ技術
- セキュリティ適応制御技術
といった技術課題について、NTTコミュニケーションズ、日本アイ・ビー・エム、日本電気、東芝、横河電機、NTTデータの6社で共同研究を進めることにより、必要技術の効率的な確立を目指すものである。
【関連リンク】 セキュリティ適応制御技術に関する研究開発と実証実験(PDF) |
この取り組みの中でNTTデータは、シームレスなタグ情報管理技術のサブテーマとして、EPC(Electronic Product Code)やユビキタスIDなど任意の記述方式で格納されている電子タグの属性情報が、異なるプラットフォーム間でも相互に解釈可能となり、情報の共有や利用が安心・安全に行われる技術(電子タグ属性情報の相互運用技術)の研究に取り組んでいる。
研究開発に当たっては、具体的な研究成果の検証のために、電子タグの利活用が想定される分野での実フィールドを使った実証実験も併せて実施している。研究開発の初年度(2004年度)の研究結果については、スペースの関係から2005年6月14日に開催された「ユビキタスネットワーキングフォーラムシンポジウム電子タグ高度利活用技術研究開発実証実験発表会」におけるプレゼンテーション資料を参照いただくこととする。
【関連リンク】 電子タグ属性情報の相互運用技術の研究開発と実証実験(PDF) |
ここでは2004年度の研究開発成果をベースとした2年目(2005年度)の研究内容と実証実験を紹介する。2005年度は、2004年度の開発成果からの技術拡張という位置付けで、以下の3つの取り組みを実施した。
1.異種プラットフォーム記述方式の相互翻訳技術
異なるスキーマ定義で記述された属性情報の相互翻訳方式について検討し、異なるID体系に基づくプラットフォーム間での相互翻訳機能を実現
2.異種プラットフォーム認証技術
異なるセキュリティポリシーを持つプラットフォーム間での相互認証を実現する手法を検討し、プロトタイプシステムを開発
3.地域生活コミュニティ実証実験
電子タグを用いた平常時・災害時に活用できるマルチユースプラットフォームを構築し、災害時の利活用に焦点を当て、ボランティア施設・避難施設において、リアルタイムな状況把握による救援物資管理の有効性を検証
それでは次章以降で、それぞれの詳細について見ていこう。
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Index | |
RFIDプラットフォームの相互接続運用に向けて | |
Page1 「電子タグの高度利活用技術に関する研究開発」とは |
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Page2 異種プラットフォーム記述方式の相互翻訳技術 異種プラットフォーム認証技術 |
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Page3 地域生活コミュニティ実証実験 RFID2.0への期待と課題 |
RFID2.0時代に備えるRFID入門 連載インデックス |
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電波法改正によりミラーサブキャリア方式の展開が柔軟になった。950MHz帯パッシブタグはRFID普及を促進できるのか
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