第5回 物品管理はオフィスセキュリティの最後のとりで
吉沢 猛
柿本 正樹
株式会社アルファロッカーシステム
設計部
2008年5月29日
セキュリティレベルに応じた什器の在り方
具体的なモデル使って、セキュリティレベルごとの什器の導入を考えてみたいと思います。想定するスペースごとのセキュリティレベルを下記に示します。
セキュリティ レベル |
構成 | 運用 |
---|---|---|
0(低い) |
入退室ともにゲートなし | すべてのエリアで機器が利用できる |
1 |
入室側のみゲート設置 | ゲートで入室が許可されたICカードを使ってエリア内の機器が利用できる |
2 |
入退室両方にゲート設置 | 入室側のゲートで通行者のICカードを確認し、通行が許可されればICカードに入室マークを付ける。エリア内の機器は入室マークが付いたICカードを使わないと利用できない。また、入室マークは退室側のゲートで削除される |
3(高い) |
入退室両方にゲート設置、監視カメラと連携 | レベル2の運用に加えて、不正利用を抑制するための監視カメラを連携させる |
この区分はエリアのセキュリティレベルの基本構成であり、下位のレベル0構成に上位のレベル3の用件の一部を付加するような組み合わせも可能です。
●レベル0
ゲートアクセスがないために、キャビネットにおいてユーザー照合を行います。扉の施解錠が行えるのは、事前に登録された非接触ICカードのみです。また、いつ、誰が、どの扉を開けたのかといった履歴管理が可能です。
最近では照合におけるセキュリティ向上のため、いくつかの手法を組み合わせることも行われています。例えば、暗証番号を含めた二重チェックや、管理者が立ち会うことによる二者承認機能などです。
●レベル1
レベル0との違いは、入室ゲートが追加された点です。入室できればキャビネットの利用が可能となります。セキュリティの向上は図れますが、「とも連れ」による入室者がキャビネットを利用する可能性が残されます。
●レベル2
セキュリティ強化を目的とし、指定のゲートを通過しない限り(アクセス管理)、あらかじめ登録されている非接触ICカードであってもキャビネットが利用できない仕組みを構築できます。
●レベル3
監視カメラを連動させ、画像インデックスを利用した履歴管理の強化を目的としたシステム構築が可能となります。
このように、SSFCの特徴として「選べるセキュリティレベルと汎用性・コスト削減」が挙げられます。1枚のICカード(社員証)を利用して、ユーザーの必要性に応じてセキュリティレベルを変更できます。システムの追加導入や将来の発展性など、初期段階からすべてのシステムを構築する必要がなく、企業成長に伴い、レベルを高度にすることが可能で、トータルコストを削減できるでしょう。
今後の物品管理の方向性
オフィスにおける物品管理に共通していえることは、物品を保管・管理するうえでの確実な施解錠を実現し、物品を守ることが最大の目的であり必須事項だということです。
扉、引き出し、収納スペースなどの収納方法が異なっても技術的な違いは大きくありません。何が違っているのかを考えてみると、時代の流れとともにデジタル技術やネットワーク技術の進歩によりIT化し、従来のアクセス照合であるメカキーや暗証番号方式に変わり、利便性と安全性に富んだ非接触ICカードが利用されるようになってきたことが挙げられます。
また、保管・管理以上に重要なこととして履歴管理が挙げられます。「いつ」「誰が」「どの扉を」といったレベルまで管理することが求められているのです。さらに、「どの扉を」から「何を持ち出す」まで管理できる技術が出てきました。無線技術を利用したRFIDタグの応用です。RFIDタグは非常に小さく、容易に物品に張ったり、埋め込んだりできます。
RFIDタグは、技術的な課題として一括読み取りや読み取り精度の向上が挙げられますが、現在ではアンチコリジョン機能の技術向上とアプリケーション別による各周波数帯と方式を決定することで克服できるようになってきました。
バーコードなどと比較すると、保存できる情報量が格段と多くなり、通信距離も向上しています。現段階では、導入コストは高くなってしまいますが、電波法の改正に伴いユビキタスネットワーク時代における高度活用が期待されていますのでコスト的なメリットが出てくるでしょう。
このほか、ICカード情報の登録・履歴データの管理方法が変化してきました。従来では、履歴情報を紙に出力して管理を行っていたのに対し、ストレージ技術と組み込み技術の進歩により記憶メディアによる管理も容易になりました。
また、社内のインフラを利用したデータ一元管理の導入も進んでいます。登録データや履歴データをネットワーク経由で管理する場合の安全性や、非常時における遠隔操作、盗難や事故が発生した際の外部通報などの機能が什器に必須なものとして挙げられるようになりました。
SSFCでは参加メーカー間の垣根を越えた相互連携が可能となる技術を展開することで、オフィスセキュリティ市場に貢献できる、利便性と汎用性に富んだ製品群の登場が期待できます。
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Index | |
物品管理はオフィスセキュリティの最後のとりで | |
Page1 物品管理の重要度が急激に加速している 今日のオフィスにおける物品管理の現状と課題 什器をさまざまな情報セキュリティ機器と連携させるSSFC |
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Page2 セキュリティレベルに応じた什器の在り方 今後の物品管理の方向性 |
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