第8回 自動認識総合展レポート
RFIDは実運用のステージへ
宮田 健
@IT編集部
2006年9月23日
アンテナ内蔵のマルチバンド対応タグ、ICペーパーへの応用も
トッパンでは複数の周波数帯に対応したライトワンスのICチップ「MMチップ」を展示していた。MMチップの設計/開発はエフ・イー・シーが行っている。チップ単体で2.45GHzのタグとして使用できるだけでなく、ブースターアンテナや外部アンテナを利用することで13.56MHzおよびUHF帯にも対応が可能な特徴を持っている。チップサイズは0.7mm四方であり、オンチップアンテナを利用し、単体でリード/ライトが可能である。マルチバンド対応の特色を生かし、国により周波数帯が異なる国際物流での利用や、病院や空港など電波の影響にシビアな環境において、状況に応じて利用周波数帯を変更するなどの利用方法を想定している。
単体で利用する場合は接触型とほぼ同様の利用方法となるが、同社ではこの小ささを生かし、MMチップが埋め込まれたテープを用紙に埋め込んだ「ICペーパー」を開発中だという。主な用途としては小切手や証明書類を想定している。
トッパン「MMチップ」を利用したICペーパー ロール紙の中心にあるテープにMMチップが埋め込まれている |
RFID導入のリスクを低くするために
トッパンはEPCglobal Gen2に準拠したICタグを用い、2006年4月から商用運用している「織物生地反物管理システム」を紹介していた。従来の管理方法では反物に付けられた伝票を基に確認を行っていたが、反物にはビニールがかけられているため、ビニールの下に書かれた伝票番号などが見えづらいという問題があった。システム化に当たりバーコードによる管理では同様の問題で読み取り精度が落ちることが考えられたため、ICタグが採用されたという経緯がある。ICタグの導入により、従来15人で2日間かかっていた棚卸し業務が1人で半日にまで短縮することができた。
トッパン、ICタグを活用して織物生地反物を効率管理 〜国際規格準拠のUHF帯ICタグで国内初の運用開始〜(2006年4月6日) http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease310.html |
実際の運用における生地反物梱包イメージ ビニールに覆われているため文字やバーコードを読むことが困難なのがわかる |
この事例において効果を上げたのが、導入に当たって利用環境に近い状態で評価、実証実験を行うために用意した「TOPPAN RFID LAB 953」である。RFIDのシステムを導入するには、実際の運用が密接にかかわるため単に機器を設置しただけでは問題をすべて解決できない。現場に機器を持ち込んでテストを行うには、業務を一時停止しなければならないため、導入の障壁になる可能性がある。そのため、運用に近い環境を作り出せるラボの存在は大きい。
ICタグのテスト拠点として「TOPPAN RFID LAB 953」を開設
〜 実際の物流環境でUHF帯ICタグの利用の評価試験が可能 〜(2005年11月30日) http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease242.html |
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本イベントでは機器単体の発表会ではなく、各社がそれぞれのソリューションを包括的にアピールするという姿が目立った。RFIDは検討段階からどのように導入、運用すべきかというステージに上がったことを認識するイベントであった。
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RFIDは実運用のステージへ | |
Page1 「店舗単位の導入でも」スマートシェルフがもたらす効果 ソリューションを提供できる自信は「実績」から インテリジェントリーダ/ライタとコンパクトなアンテナが登場 |
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Page2 「タグをリーダから離す」というイベントに着目 RFIDが危険を防止します タグが本物の証、「かにブランド管理システム」 |
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Page3 アンテナ内蔵のマルチバンド対応タグ、ICペーパーへの応用も RFID導入のリスクを低くするために |
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