〜Flashによるアプリケーションサービス情報を毎月お届け〜
第7回 Officeやファイル共有も!? 米のAdobe Max2007総評
須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/10/15
コンポーネントキャッシングをサポート ― Flex 3
Flex 3 beta 2では、既存のバージョンであるFlex 2との下位互換性を重視しつつ、Flash Player 9の新機能の1つでもあるコンポーネントキャッシング(RSL: Runtime Shared Library)をサポートし、ランタイムのパフォーマンス向上を図っています。
AIRのコンポーネントがフレームワーク追加され、Flex 3があればFlash Player向けのWebアプリケーションだけでなくAIRアプリケーションの開発が同じ環境でできるようになっています。もちろん、オープンソース化の予定は変わらず粛々と進められています。
■ Flex Builderもクロスプラットフォームに進化
同時にFlexの開発ツールであるFlex Builder 3もbeta 2として新しいビルドがAdobe Labsにアップされています。
さらにアルファ版ではありますが、Flex Builder for Linuxも公開され話題になっています。クロスプラットフォームのサポートがFlash Playerだけでなく、Flex Builderの開発ツール環境まで広がってきたことは他者との大きな差別化要因になることでしょう。
編集部注:Flex Builder 3やFlex 3について詳しく知りたい読者は、「Flex/AIRの開発環境Flex Builder 3を使ってみよう」をご参照ください。
デザイナー向けRIA開発ツール ― Thermo
興味深いFlex関連の製品としてはコードネーム“Thermo”の発表がありました。これはデザイナー向けRIAのユーザーインターフェイス(以下、UI)開発ツールです。RIA開発ワークフローの効率化はAdobeだけでなく競合各社がクリアーしなければならない大きな課題の1つですが、ThermoはRIA開発プロジェクトの中でデザイナーが効率的にUIをデザインし、なおかつFlex開発者とコラボレーションできるツールを目指しているようです。
Thermoのサンプルイメージ(Adobe labsのページより引用) |
Thermoを使うと、デザイナーが一切コードを書かずに、IllustratorやPhotoshop、Fireworkで作られたアートワークからSkinやUIコンポーネントをデザインし、Flex Builderへ取り込むことができます。
しかも、一方通行ではなく前述のFlex BuilderからThermoへとラウンドトリップでUI編集作業が可能になるようです。PhotoshopのレイヤをそのままFlexのUIコンポーネントに取り込める日がThermoによってやって来るのではないでしょうか。
進化していくRIAプラットフォームベンダとしてのDNA
実際に触ってみることのできるベータ版から、将来のRIAの姿を予感させるものまで話題には事欠かないAdobe MAX 2007でした。AIR関連の新製品リリースや買収の裏で、開発者とデザイナーをつなぐワークフローや開発生産性の向上を改善する製品のデモがあったりと、派手なお祭り騒ぎの中にも着々と進化していくRIAプラットフォームベンダとしてのDNAが見えたカンファレンスだったのではないでしょうか。
来月のMAX Japanでぜひ自分の目で見て確かめてみてください。
おまけ:「Flash=ActionScript 3」ではなくなる?
今回のMAXで実は一番印象に残ったのが、C/C++のコードをActionScript 3へトランスコードするデモでした。テクノロジーデモンストレーションとして公開されていたものですが、デモの中ではXSLTのCライブラリをActionScript 3へ変換し、Flash Player上でXSLTを動かしていました。
XSLTのようにActionScript 3では実装されていない機能でも、ほかのプログラミング言語ですでにあるライブラリが使えるようになれば非常に便利であることはいうまでもありませんが、C/C++の資産がある場合にはFlash、AIRアプリケーションがコンパイルできるというメリットも大きいでしょう。
C/C++用のスクリプティングホストを変えれば、RubyやPHPなどをActionScript 3へと翻訳することが可能でしょうから「Flash=ActionScript 3」ではなくなる将来も来るのかもしれません。デモの最後では、Flash Player上で動いている、大ヒットゲームDoomに観客の大きな喝采(かっさい)が集まりました。
■@IT関連記事
行く先はMAX 2007? バスツアーがOn“AIR”中! 連載:Flash観測所(5) いま米で進行中のOn AIR Busツアー。停車する各地でAIR・Flexなどに関する技術セッションが行われている。そこでできたAIRアプリなども紹介しよう 「リッチクライアント & 帳票」フ ォーラム 2007/8/1 |
INDEX | ||
第7回 Officeやファイル共有も!? 米のAdobe Max2007総評 | ||
Page1 AdobeがOffice製品市場へ!? Buzzword買収 ファイル共有Webアプリ ― Share さらに進化し続けるFlash Player ― Astro |
||
Page2 AIR Beta 2のアプリが早くもぞくぞくと登場 公式FLVプレーヤーとなるか? Adobe Media Player |
||
Page3 コンポーネントキャッシングをサポート ― Flex 3 デザイナー向けRIA開発ツール ― Thermo 進化していくRIAプラットフォームベンダとしてのDNA おまけ:「Flash=ActionScript 3」ではなくなる? |
- GASで棒、円、折れ線など各種グラフを作成、変更、削除するための基本 (2017/7/12)
資料を作る際に、「グラフ」は必要不可欠な存在だ。今回は、「グラフの新規作成」「グラフの変更」「グラフの削除」について解説する - GET/POSTでフォームから送信された値をPHPで受け取る「定義済みの変数」【更新】 (2017/7/10)
HTMLのフォーム機能についておさらいし、get/postメソッドなどの内容を連想配列で格納するPHPの「定義済みの変数」の中身や、フォーム送信値の取り扱いにおける注意点について解説します【PHP 7.1含め2017年の情報に合うように更新】 - PHPのfor文&ループ脱出のbreak/スキップのcontinue【更新】 (2017/6/26)
素数判定のロジックからbreak文やcontinue文の利点と使い方を解説。for文を使ったループ処理の基本とwhile文との違い、無限ループなども併せて紹介します【PHP 7.1含め2017年の情報に合うように更新】 - Spreadsheetデータの選択、削除、挿入、コピー、移動、ソート (2017/6/12)
Spreadsheetデータの選択、挿入、削除、コピー、移動、ソートに使うメソッドの使い方などを解説する
|
|