運用

Windows XP「引越ラクラク」テクニック

―― 「ファイルと設定の転送ウィザード」による環境移行 ――

デジタルアドバンテージ
2002/02/07


 新しいOSに乗り換えるのは結構なことだが、頭痛のタネは環境の移行である。

Windows XPの「ファイルと設定の転送ウィザード」
「転送ウィザード」は面倒な環境移行を「おまかせ引越サービス」のように自動化してくれるツールだ。 ただし安心して使うには、しくみなどを理解しておく必要がある。

 この際最も簡単な方法は、従来のWindows環境に対し、新しいWindowsをアップデート・インストールすることだ。これなら、Windowsをバージョンアップした後でも、従来使っていたほとんどのアプリケーションはそのまま使えるし、作成したファイルも同じフォルダに残されているはずだ。しかし、PCを新しく買い換えたり、今まで使っていたハードディスクをフォーマットし直して(あるいは、ハードディスクだけ新しいものに買い換えて)新しいWindowsをクリーン・インストールしたりする場合にはこの方法はとれない。

 Windows環境を長く使っていると、おろしたての靴がやがて自分の足に馴染むように、過ごした時間とともに、個々人にとって最も使いやすいWindows環境が出来上がるものだ。日々の活動記録はハードディスクに刻み込まれ、やがてWindows環境は、特定のユーザー色に(逆にいえば、他人にはとうてい使えない状態に)に染まっていく。よくも悪くも、これはパソコンの大きな特徴だろう。

 移行が必要な情報として代表的なところでは、ブラウザの「お気に入り」や、日々のメールが保存されたメール・ボックス、自作したワードプロセッサのファイルやスプレッドシートのデータなどがあるだろう。しかしこれ以外にも、ちょっとしたアプリケーションの設定情報や、自作のスクリプトなど、いざ新しい環境に移行して使い始めると、ことあるごとに環境の再構築を迫られるものだ。Windows XPの登場以前は、こうした環境移行に対応したサードパーティ製ツールを使うか、さもなくば設定情報や文書ファイルなどを手作業で新しい環境に移行させる必要があった。自分が明示的に保存したファイルならともかく、アプリケーションがレジストリやファイルなどに書き込んだ設定情報を的確に見つけ出し、それを適当な場所に転送するなど至難のワザである。いきおい、一からアプリケーションを再インストールして、必要な設定を再度行う方が手っ取り早いという結論に達する。

 こうした環境移行の問題を解消し、従来のWindows環境から新しいWindows XP環境への移行を簡単に実行できるように、Windows XPでは、「ファイルと設定の転送ウィザード(Files and Settings Transfer Wizard)」と呼ばれるツールが新たに追加された。このツールを使えば、デスクトップ・テーマやキーボード/マウス/サウンド設定などのWindowsシステムに関する設定や各種アプリケーション設定(アプリケーション本体は別途インストールする必要がある)、主要なデータ・ファイルなどを半自動的にWindows XP環境に移行できる。いわば、本棚や食器棚の中身を引越先でもそのまま再現してくれるという「おまかせ引越サービス」のようなものだ。

 本稿では、この「ファイルと設定の転送ウィザード」を使った環境移行について、注意点などを織り交ぜながら解説していくことにする。

 

 INDEX
[運用]Windows XP「引越ラクラク」テクニック
    1.「ファイルと設定の転送ウィザード」の動作原理
    2.転送ウィザードによって転送される情報
    3.アップデート版「転送ウィザード」の入手とインストール
    4.転送ウィザードを使う その1:PC→PC間での直接ネットワーク転送
    5.[PC→PC]ステップ4:転送元コンピュータで転送ウィザードを起動する
    6.転送ウィザードを使う その2:PC→FILE→PCでのデータ転送
    7.転送するファイルと設定のカスタマイズ
 
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