第5回 読者調査結果
― 読者の Windows XP 導入意向は? ―

@IT マーケティングサービス
小柴 豊
2001/12/05

 Windows Server Insider フォーラムでは、2001年10月に第5回目となる読者アンケートを実施した。今回のテーマは、発売直前のWindows XPの導入意向、およびWindows 2000プラットフォームによる業務システムの構築状況である。本稿ではその主要な結果をご紹介する。

30%が「Windows XPを導入したいと思わない」

 去る11月16日、冷え込んだパソコン市場の救世主として期待されるWindows XPが正式に発売された。さまざまなニュースで当日深夜のカウントダウンの模様が報じられたが、全体的にはWindows 95発売当時のようなインパクトはなかったようだ。では熱きWindowsユーザーが集う(?)当フォーラム読者は、この新OS導入にどの程度前向きなのだろうか? 自宅/勤務先別にWindows XP導入予定を聞いた結果が図1である。

 ご覧の通り、ボーナス期をはさんで「2001年中に導入する予定」と答えたのは、自宅で20%/勤務先で8%。さらに年度末を加えた「2002年3月までには導入したい」を合計すると、半年以内の導入意向率は自宅32%/勤務先16%となった。しかしその反面、「導入したいと思わない」との回答が自宅/勤務先とも3割に上っている点が注目される。「Windows 95 以来最大の改革」「ブロードバンド時代に最適なOS」といったフレーズが踊る中、Windows XPへの読者の反応は冷静であるようだ。

図1 Windows XP導入予定(N=309)
 

読者のコメントより

  • Windows 2000からWindows XPへの移行についてどのような利点・必要性があるのか分からない(見つからない)

  • 現在Windows 2000を使用しているが、Windows XPにすることで、ユーザーにはどれほどのメリットがあるのだろう

 Windows XPに対する「冷静さ」の原因の1つに、特にWindows 2000ユーザーにとって「アップグレード・メリットがピンとこない」ことがあるようだ(別質問で読者の現在使用中のOSを尋ねたところ、自宅/勤務先ともWindows 2000の使用率がおよそ6割に達している)。Windows Insiderでは、こうした読者向けの特集記事「Windows XPとは何か?〜Windows 2000ユーザー/管理者から見たWindows XP」を掲載しているので、未読の方はぜひチェックしていただきたい。

Windows XPで知りたいことは?

 それでは現在読者は、Windows XPについて、どのようなことに興味があるのだろうか? 主にパワーユーザー/管理者用の新機能を提示し、詳しく知りたいものを3つまで選んでもらったところ、最も興味が集まったのは「再インストールや大量導入時のアクティベーション(ライセンス認証)方法」であった(図2)。これに次いで「従来環境からWindows XPへの環境移行ツール」のポイントが高くなっていることからも、今のところ読者の関心は「XPならではの新機能」よりも、「そもそもXPへスムースに移行できるのか」という点に向いていると思われる。

図2 Windows XPで知りたい新機能(3つまでの複数回答 N=309)
 

読者のコメントより

  • ライセンス認証が一番心配。スムースに移行できることを確認してからでないと導入できない。

  • OSを大量にインストールするときの無人インストールの方法について、Windows NT 4.0、Windows 2000からの変更点・改善点を具体的に知りたい。

  • 現在使用しているアプリケーションとハードウェアが引き継げるのか? (Windows 2000のときは苦労しました)

 不景気の折、特に大量ユーザーを抱える企業にとって、新OSに合わせてハードウェアを更新するのは簡単ではないだろう。Windows XPが普及するためには、「既存環境からのマイグレーションの容易さ」がカギになりそうだ。

Windows 2000による業務システムの構築状況

 話は変わって、後半は「Windows 2000による業務システム構築」についてのアンケート結果を見ていこう。Windows XPの登場で早くも1世代前となった感があるWindows 2000だが、企業の業務システム・プラットフォームとしては、むしろこれからが本番と言えるだろう。

 まず読者にWindows 2000プラットフォームによる業務システム構築への関与状況を聞いた結果、図3のように全体の37%が何らかの形で構築にかかわっていることが分かった。

図3 Windows 2000 による業務システム構築への関与度(N=309)

 では上記システム構築者は、どのような用途でWindows 2000を利用しているのだろうか? その主な目的を聞いた結果が図4である。最も多く挙げられたのは、インターネット時代の今日らしく「Webサイト構築(情報発信/EC)」であり、以下「DBMS/データウェアハウス」「金融/公共/教育など特定分野向け業務システム」「メッセージング/グループウェア」と、多彩なジャンルでWindows 2000が活用されていることが分かる。

図4 Windows 2000を使用した業務システム:主な内容(Windows 2000システム構築者 N=116)

Windows 2000システムの課題:セキュリティ強化が最重点課題

 最後に、Windows 2000を使った業務システム構築の課題について見てみよう。CodeRed/NimdaなどIIS(Internet Information Server)の脆弱性をついたウイルス騒動の影響もあってか、「セキュリティ」を問題視する人が約6割に達した(図5)。一方、従来Windowsプラットフォームの弱点として指摘されることが多かった「大規模システムに対応する拡張性」や「異種システムとの連携性」などを挙げる人は少なかった。今後Windows 2000が業務システム・プラットフォームとして普及するためには、セキュリティ問題の克服が必須といえそうだ。End of Article

図5 Windows 2000を使用した業務システムの課題(3つまでの複数回答 Windows 2000システム構築者 N=116)
 
調査概要
調査方法
Windows Server InsiderサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2001年9月28日〜10月24日
有効回答数
309件
 
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