特集Windows 2000とは何か?(改訂新版)11.Windows 2000 Serverの概要(4)
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Windows 2000における主なインターネット/イントラネット向けアプリケーションサーバ機能としては、次のようなものがある。これらも主にOption Packなどで機能強化が図られてきたものであるが、Windows 2000 Serverでは、最初からインストール可能なモジュールとして用意されている。
機能 | 内容 |
電子メール/ニュースサービス | SMTPやNNTPプロトコルのサポート(Web向け) |
証明書/証明機関サービス | 公開鍵セキュリティアプリケーションで使用する証明書を発行するための証明機関サービス(VPNなどで使用) |
ILSサーバ | LDAPサーバ(NetMeetingなどで利用可能) |
ターミナルサービス | リモートからWindow 2000 ServerシステムにGUI形式でログオンして、そのサーバ上でアプリケーションを動作させたり、そのサーバマシンを管理したりするサービス |
Windows Mediaサービス | ユニキャストやマルチキャストを使って、インターネットやイントラネットに向けてストリーミングコンテンツを配信するサービス。オンデマンド型とライブ(リアルタイム)型の両方がサポートされている。MPEG-4やMP3のCODECがサポートされている |
ダイヤラアプリケーション | インターネット上で電子会議を行うためのサービス(Professional版でも利用可能)。音声だけでなく映像を使ったオンライン会議も可能 |
Windows 2000 Serverのアプリケーションサービス |
ターミナルサービス
これは、以前のWindows NT Server 4.0 Terminal Server Editionで提供されていた機能である。Windows 9x/Windows NT 3.51/NT 4.0/2000上にインストールされたTerminal Serverクライアントプログラムから(フロッピー2枚でインストールできる程度の軽量なクライアント)、Terminal ServerにGUIベースでリモートログオンして、サーバマシンのリソースを利用するためのサービスである。ネットワークの管理者がリモートからWindows 2000 Serverにログオンしてサーバをリモート管理することと、一般のユーザーがサーバのリソースを使う、という2つの目的がある。プログラムの実行やデータの保存などはすべてサーバ上で行われるので、アプリケーションの管理(インストールなど)もすべてサーバに集約できるというメリットがある。また、クライアントでは実際のアプリケーションを実行するわけではないので、(画面を描画しているだけであるから)特にCPUパワーも必要とせず、Windows 2000を実行できないような古いマシンでも、最新のWindows 2000実行環境として利用できるというメリットもある。Windows 2000 ServerのCD-ROMにはWindows 9x/NTで利用可能なクライアントモジュールが含まれているが、これ以外にも、Citrix社の開発したICA(Independent Computing Architecture)プロトコルをサポートしたものも利用できる(Citrix社はWindows NT Server 4.0 Terminal Server Editionの共同開発元。ICAプロトコルを使ったクライアントは、MS-DOS用やMacintosh用、UNIX用などのほか、多数ある)。
このターミナルサービスは、原理的には、Windows 2000 Serverの中に仮想的なスクリーンやWindows 2000実行環境を作り(1セッションごとに数Mbytesのプロセス空間が必要)、その画面情報をターミナルサービスクライアントへ送るというふうにして動作している。実際に送る画面データは、差分情報だけを(必要ならば)圧縮して送っているので、ネットワーク帯域的にもそう多くは必要ない(必要な通信帯域はアプリケーションにもよるが、5Kbps〜数10Kbps程度。このためダイヤルアップ環境などでも使用可能)。なおサポートされるスクリーンの解像度は、(テストした環境では)1024×768ドットまでで、256色のみが利用可能であった。
ターミナルサービスはサーバ側のマシン上でプログラムを実行するための環境であるが、GUIベースで実行されるため、サーバ側のCPUパワーはかなり消費されることになる。必要メモリサイズは、1セッションごとに(数Mbytes+アプリケーションの実行時サイズ)であるが、CPUパワーにはかなり余裕が必要であろう。特に、描画はグラフィックスアクセラレータチップではなくて、すべてサーバ側のCPU が担当することになるので、たとえば3D迷路のスクリーンセーバなどを動かすと、それだけでサーバのCPUパワーが半分くらい消費されてしまうことになる(普通はこんなことはしないだろうが……)。非常にインタラクティブで、かつCPUバウンド(CPUパワーを大きく消費する)なアプリケーション(3Dピンボールなど!)にはあまり向いていないと思われる(^_^;;)。
ターミナルサービス |
ターミナルサーバへマルチセッションでログオンしているところ。ピンボールを動かしているので、CPU使用率が100%になっている! このようにターミナルサービスを利用すれば、リモートでアプリケーションを使ったり、管理したりできる。 |
Windows Mediaサービス
Windows Mediaサービスとは、ユニキャスト(1対1)やマルチキャスト(1対多)通信機能を使って、インターネットやイントラネットに向けてストリーミングコンテンツ(音声、映像、スライドショーなど)を配信するサービスである。あらかじめ用意しておいたコンテンツをユーザーからの要求に応じてそのつど配信するオンデマンド型と、常にデータを流し続けるリアルタイム型(ブロードキャストもしくはマルチキャスト)の2種類のサービスがある。
Windows Mediaサービス |
Windows Mediaサービスのサービスマネージャ。MMCではなく、インターネット/イントラネット経由で管理しやすいようにWebベースになっている。 |
Windows 2000 Advanced Serverの機能
Windows 2000 Serverの上位製品として、スケーラビリティや可用性(アベイラビリティ)に優れた、Windows 2000 Advanced Serverが用意されている。Advanced Serverでは、最大ユーザーメモリ空間/物理メモリサイズの拡大、SMPのサポートCPU数の強化や、クラスタリング機能などが追加されている。
Windows 2000 Server | Advanced Server | |
最大SMP CPU数 | 4CPU | 8CPU |
最大ユーザーメモリ空間 | 2Gbytes | 3Gbytes |
最大物理メモリサイズ | 4Gbytes | 8Gbytes |
AWE API | ○ | ○ |
PAE X86 | × | ○ |
クラスタリング | × | ○ |
Windows 2000 ServerとAdvanced Server |
最大ユーザーメモリ空間というのは、アプリケーションプログラムが利用できるコードやデータ、スタック、ヒープなどのメモリ空間のサイズの合計のことであり、従来のWindows NTでは1プロセスあたり最大2Gbytesまでに制限されていた(x86 CPUのアドレスビット幅は1セグメント当たり32bitあるので、これは全アドレス空間4Gbytesの半分のサイズにあたる)。Windows 2000 Advanced Serverでは、カーネル部分のメモリ空間を1Gbytesに縮小し、ユーザーメモリ空間を最大3Gbytesに増加させている。これにより、大きなアプリケーションでも実行しやすくなった。この機能を「Application Memory Tuning(もしくは4Gbytes Tuning)」という。
最大物理メモリサイズは、システムに実装することが可能な(Windowsが認識可能な)物理メモリの最大サイズのことである。Pentium Pro以降のCPUでは、物理的なアドレスラインは36bitあるが(Pentiumまでは32bit)、この機能を使ってシステムに最大8Gbytesまでのメモリを実装し、それをWindows NTシステムから利用できるようにするための機能がPhysical Address Extension X86(PAE X86)である。また、2Gbytes(もしくは3Gbytes)のユーザーメモリ空間だけでは扱えないような巨大な物理メモリを直接利用するためのAPIとして、Address Windowing Extensions(AWE)というAPIがある。AWEとは、巨大な物理メモリの一部をユーザーメモリ空間中のウィンドウにマッピングさせて利用する機能であり(MS-DOS当時のEMSメモリなどと同じ考え方)、NT 4.0 サービスパック3以降で利用可能であるが、これら2つの機能を組み合わせることにより、Advanced Serverでは、より巨大なアプリケーションを動作させやすくなっている。
Windows 2000 Advanced Serverでは、2ノードのクラスタリングサービスも利用できる。これは、Advanced Serverを実行する2台のマシン上で同じサービスを動かしておき、片方がフェイルしても、もう1台の側でアプリケーションを引き続き実行させる機能(フェイルオーバー)や、TCP/IPアプリケーションを複数のノードで分散して実行し、総合的なパフォーマンスを向上させる機能(ネットワークの負荷分散機能)などが含まれる。これらの機能により、サービスのスケーラビリティや耐障害性を高めることができる。
ネットワークの負荷分散の設定 |
クラスタを構成する複数のノードに同じIPアドレスを付けておき、クライアントからのサービス要求を分散して実行することができる。これはクライアントからの要求をどのクラスタ内のシステムに振り分けるかを決めるための設定画面。 |
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