特集Windows 2000とは何か?(改訂新版)1.イントロダクションデジタルアドバンテージ |
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Windows 2000は、主にビジネスユーザー向けのフル32bitオペレーティングシステムであるWindows NT 4.0の後継として、マイクロソフトが2000年2月18日より発売を開始したOSである。このWindows 2000の開発にあたっては、早期体験プログラムとして、開発途中バージョンであるベータ3を公募したユーザー向けに広く実費配布したり、続くRC2版を、早期体験プログラムとしてコンピュータ関連雑誌の付録CD-ROMとして約200万コピーも配布したりと、規模・内容ともに、従来にはなかったマーケティング施策が展開された(1999年11月末時点でのWindows 2000のマーケティング プランについては、別稿の「Insider's Eye:マイクロソフト、日本語版Windows 2000の発売日、価格、マーケティングプランを正式発表」を参照)。特に、2000年8月までの期間限定とはいえ、この付録CD-ROMとして配布されたRC2版のユーザーには、通常よりも安価にWindows 2000 Professionalを購入できる特典が与えられ、話題を呼んだ(特典の詳細については、「Insider's Eye:マイクロソフト、RC2登録特典を利用したWindows 2000 Professionalの購入方法を公開」を参照)。
Windows 2000のデスクトップ |
Windows 2000 Professionalのデスクトップ。この画面を一見しただけでは、Windows 98や前バージョンのNT 4.0との違いは分からない。しかしWindows 2000では、細かな部分まで含めると、多くの点で新機能の追加や機能の改良、機能拡張などが行われている。 |
この画面を見ただけでは、既存のWindows 98(Second Edition)や前バージョンのNT 4.0との違いは分からないだろう。しかしこのWindows 2000には、マイクロソフトの新世代オペレーティングシステムとして、数々の機能追加や改良が行われている。以下本稿では、Windows 2000で改良された機能や、新たに追加された機能の中から、主立ったものを個別にご紹介していくことになるが、ここではその第一歩として、Windows 2000のパッケージ構成と、Windows OSの今後のロードマップなどについて簡単にまとめておこう。
Windows 2000のパッケージ構成
従来のWindows NT 4.0では、デスクトップ向けのパッケージとしてはWindows NT Workstation 4.0が、部門レベルの比較的小規模なサーバ用途向けとしてはWindows NT Server 4.0が、さらに大規模なネットワーク サーバ向けとしてはWindows NT Server 4.0 Enterprise Editionがそれぞれ提供されていた。これに対しWindows 2000では、それぞれに対応するパッケージとして、Windows 2000 Professional、Server、Advanced Serverが提供される。さらにWindows 2000では、より大規模なデータウェア ハウスや計量経済分析、エンジニアリング用のサーバ向けとして、Windows 2000 Datacenter Serverが2000年夏に出荷される予定である。これらの関係をまとめると次のようになる(Windows 2000の製品概要については、マイクロソフトのWebページを参照)。
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NT 4.0パッケージ | Windows 2000パッケージ | 主な用途 |
Windows NT Workstation 4.0 | Windows 2000 Professional | デスクトップクライアント、ごく小規模なワークグループ サーバ |
Windows NT Server 4.0 | Windows 2000 Server | 部門サーバ、小規模〜中規模サーバ |
Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition | Windows 2000 Advanced Server | より強力な中規模、大規模サーバ向け。各種インターネットサービス(WWWサーバなど)を統合的に実現することが可能 |
該当なし | Windows 2000 Datacenter Server | データウェアハウス、経済分析、各種エンジニアリング用途などに使用する大規模サーバ向け |
Windows NT 4.0とWindows 2000パッケージの対応関係 |
各Windows 2000パッケージの主要スペックと必要システム要件などは次のとおりである。ただしこれらは、PC/AT互換機およびNEC PC-9800シリーズのものである。ほかにも、COMPAQ Alphaシステム向けのWindows 2000の各パッケージがある。
Windows 2000 Professional | Windows 2000 Server | Windows 2000 Advanced Server | |
プロセッサ | Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ) | Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ) | Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ) |
SMPサポート | 最大2プロセッサ | 最大4プロセッサ | 最大8プロセッサ |
必要メモリ | 32Mbytes以上 | 128Mbytes | 128Mbytes |
推奨メモリ | 64Mbytes | 256Mbytes | 256Mbytes |
最大メモリ | 4Gbytes | 4Gbytes | 8Gbytes |
ハードディスク容量 | 850Mbytes以上(全体として2Gbytes以上を推奨) | 1Gbytes以上 | 1Gbytes以上 |
ディスプレイサブシステム | VGA以上 | VGA以上 | VGA以上 |
その他のリムーバルストレージ | CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ | CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ | CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ |
その他のデバイス | キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス | キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス | キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス/ネットワークアダプタ(ネットワーク接続時) |
アップグレード可能なOS | Windows 95/Windows 98(SE)/Windows NT Workstation(3.51/ 4.0) | Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition | Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition/Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition |
出荷日 | 2000年2月18日 | 2000年2月18日 | 2000年3月3日 |
Windows 2000各パッケージの概要と必要システム構成 |
なお、Windows 2000 Datacenter Serverは、最大32プロセッサまでのSMPサポート、最大メモリが64Gbytesであること以外はすべて未定である。
2000年内にはWindows 9xコアを持つ最後のOS、Windows MEが発売予定
Windows 2000が登場したことにより、マイクロソフトのWindows OSラインアップは、Windows 98 Second Edtion(SE)とWindows 2000の2つになった。端的な分類としては、ゲームやマルチメディア用途など、ハードウェアの性能を最大限に引き出したい場合や、Windows 2000用のデバイス ドライバを入手不可能な一部のマルチメディア デバイスなどを使用する場合にはWindows 98 SEを、ワードプロセッサや表計算アプリケーション、電子メールなど、もっぱらビジネス アプリケーションを利用する場合ならWindows 2000をということになる。しかしPCショップなどでのソフトウェア販売コーナーを見ても、積まれているパッケージはWindows 2000(Professional)ばかりであり、コンシューマ用途としても、マイクロソフトがWindows 2000を押していることは明らかだ。
こんな中マイクロソフトは、Windows 9xコアを持つ新しいWindows OS、Windows Millennium Edition(ME)の開発を進めている。マイクロソフトの発表によれば、このWindows MEこそが、Windows 9xコアを持つ最後の製品だとされ、出荷予定は2000年中とのことだ。
このWindows MEでは、起動時間の大幅な短縮を始め、デジタル スチル カメラや携帯用オーディオ プレイヤーなどのコンシューマ機器に対するサポートが新たに追加される模様である。しかし全般的には、ごく部分的なマイナー バージョンアップであるといわれており、一部の関係者の間では「Windows 98 Third Edition」などと囁かれている。事実、2000年4月25日からハードウェア ベンダのエンジニアなどを対象として開催されたテクニカル カンファレンスのWinHEC 2000では、Windows MEが「クリスマス商戦向けプレインストールOS」として参加者に紹介された。マイクロソフトにとってのWindows MEの位置づけを端的に表した言葉と考えてよいだろう。
そしてWhistlerへ
1999年末時点のロードマップでは、Windows MEの後継OSとして、Windows 2000コアを持つコンシューマ向けOSのNeptune(開発コード名)が開発される予定だったが、その後Microsoftは方針を変え、現行のWindows 2000のすべてのラインアップも含めて、バージョンアップが行われることになった。この方針転換により、開発コード名はNeptuneからWhistler(ウィスラー)に変更された。
Whistlerについては、先に述べたWinHEC 2000において、ビル・ゲイツ氏を始めとする同社の幹部のスピーチで、現状と今後のロードマップが公表された。これによれば、クライアント向けのWhistlerには少なくとも2つの製品群があり、一方は現行のWindows 2000 Professionalの後継となるビジネス用途向けに最適化された製品、もう一方はWindows MEの後継となるコンシューマ用途向けに最適化された製品である。コードベースが共通化されることから、両者は同一のデバイス ドライバを使用可能であり、双方で完全なアプリケーションの互換性が保証されるとしている。
Windows MEユーザーにとって、Whistlerは、OSコアがWindows 9xからWindows 2000に変わる大幅なバージョンアップになるが、現行のWindows 2000ユーザーにとっては、Whislterはちょっとしたマイナー バージョンアップにとどまる模様である。Windows MeとWhistlerの今後のロードマップを図にすると次のようになる。
サーバ側製品としては、Windows 2000の最上位製品であるData Center Serverが2000年夏に出荷される予定だ(以下の図を参照)。このWindows 2000 Data Center Serverでは、32個までのマルチプロセッサ、および最大64Gbytesまでの物理メモリをサポートする。
すでに述べたとおり、Whistlerはクライアント向け製品だけでなく、サーバ向け製品も出荷される。現行のWindows 2000 Professional、Server、Advanced Serverに加え、前出のData Center Serverに対応する製品が出荷される予定である。これらを図示すると次のようになる。
これら32bit版のWindows OSとは別に、2000年中にはIntel Itanium(アイテニアム)搭載システム向けの64bit版Windows 2000 Serverがリリースされる予定だ。Microsoftは、1999年8月にはItaniumシステム上で動作するWindows 2000を披露し、2000年2月にはIntelとともに共同開発した64bit版のSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)を発表している。Microsoft社の幹部によれば、64bit版Windows 2000 Serverの出荷時期は、「Itanium搭載システムの発売に合わせる」とのことである。
このほかMicrosoftは、PDA(Personal Digital Assistant)機器や専用機器向けの組み込み用OSとして、Windows CEと、Windows NT 4.0のテクノロジをベースとして、組み込み用途向けの変更を施したWindows NT 4 Embeddedの2つのラインアップを持っている。このうち後者のWindows NT 4 Embeddedの後継に位置づけられるものとして、Whistlerの組み込み版の開発も進めているという。
WinHEC 2000で紹介されたWindows OSのロードマップについては、別稿「Insider's Eye:ベールを脱いだWhistler」で詳しく紹介しているので参照されたい。
関連記事(Windows Insider内) | |
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関連リンク | |
米Microsoft | WinHec 2000のホームページ |
マイクロソフト | Windows 2000の製品概要紹介のページ |
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