Pentium
【ペンティアム】
別名
・ペンティアム (pentium)
i486DX2マイクロプロセッサの後継CPUとして、Intel社が1993年初頭に発表したx86アーキテクチャのスーパースケーラー・マイクロプロセッサ。8086ラインアップの第5世代プロセッサにあたる。開発コード名はP5(ピー・ファイブ)と呼ばれていたため、「5」を意味する「Pent-」という接頭辞にちなんで、「Pentium」と名付けられた。
Pentium 写真提供:Intel |
発表当初のPentiumプロセッサの仕様をまとめると、外部データバス幅64bit、アドレスライン幅32bit、レジスタ長32bit、クロックは60MHz版と66MHz版の2種類、内部キャッシュ(1次キャッシュのみ搭載)は命令8Kbytes/データ8Kbytes、トランジスタ数310万、動作条件は5V/16W、パッケージは273ピンのPGA(54.9mm×54.9mm)、製造プロセスは0.8μBiCMOS 3層メタル、2命令を同時実行可能な5段パイプライン、独立した浮動小数点演算パイプライン、32byteの命令プリフェッチキュー、2つのライトバッファ、256エントリの分岐先バッファなどという特徴を持っていた。
Pentiumは、命令セットアーキテクチャ的に見るとi486の上位互換であり、命令セットなどもそれほど拡張されていないが、Pentiumの最大の特徴は、何といってもその演算性能の高さにあった。Pentiumの発表当時に一般的だったi486DX2-66MHz(内部クロック66MHz、外部バスクロック33MHz)に比較して、整数演算性能で約2倍、浮動小数演算性能で約3.5倍(いずれもクロック66MHz版での比較)という高性能を実現していた。この高性能化を実現できたポイントは、外部クロック周波数の向上(33MHz→66MHz)、データバス幅の拡張(32bit→64bit)、2命令同時実行パイプライン、高度な分岐予測、オンチップ1次キャッシュ、浮動小数点演算機能の内蔵、ワイヤード論理による高速な命令実行、などという、マイクロアーキテクチャの改良によるところが大きい(カッコ内はすべてi486DX2-66MHzとの比較)。
Pentiumには、UパイプとVパイプという2つの整数演算パイプラインが用意され、これにより2命令の同時実行が可能になった。ただしUパイプではすべての命令を実行できるが、Vパイプ側では、Uパイプで実行中の命令とデータの依存関係を持たず、マイクロコードを使わずに実行できるような、一部の単純な命令だけを同時に実行することができる。なおこのUパイプとVパイプは完全に同期的に実行され、キャッシュミスなどで一方のパイプが停止すると、他方のパイプも停止するようになっている。
その後Intelは、P5の製造プロセスを0.8μm→0.6μmに微細化し、動作クロック周波数を向上させたP54C(90MHz〜120MHz)を1994年に発表した。このP54Cでは、ダイサイズが163mm2と当初から45%も小型化され、これによって、製造コストの大幅な削減、動作クロックの向上、省電力化を実現した。また、マルチプロセッサ機能もサポートされている。
さらにその後、Intelは0.35μmの製造プロセスを採用したP54CSを発表した。
そして1997年1月、IntelはSocket 7対応のPentium後継プロセッサとして、MMX Pentiumを発表した。このMMX Pentiumでは、マルチメディア拡張機能であるMMX命令を追加、L1キャッシュ(1次キャッシュ)容量を2倍の32Kbytesに増加させ、最高で300MHzまでのクロックに対応可能とした。
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