ebXMLが野心的なBtoBの実証デモを公開

2000/11/10

ebXML議長のクラウス氏。背景のプレゼンテーションシートには、ebXMLの目標である、「ebXMLは、どこのだれであろうとB2Bを可能にする」という言葉が映されている

 XMLを利用したBtoB(企業間取引)のための標準化を進めるebXMLが、コンセプト実証デモを公開した。 デモでは、インターネットを通じて取引先を検索、取引条件を確認した上で相手との取り引きを開始するというビジネスプロセスを、インターネット上で実現した。

 ebXMLは、 XMLによるビジネスの標準化を促進する団体であるOASIS(Organization for Structured Information Standards)と、UN/CEFACT(United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business、国連による行政、商業、運輸のための実務と手続き簡易化センター)の2つが中心となって推進している。

 ebXMLの目指すものは、業種業態や、大企業、中小企業などの規模にかかわらず、しかも先進国のみならず発展途上国の企業でも利用可能な、世界で唯一のオープンなBtoBのための標準の策定、という非常に野心的なもの。そのために、BtoBのビジネスプロセスにかかわるスキーマやボキャブラリなどのXML文書フォーマット、BtoB参加企業のレジストリ/レポジトリ、文書のワークフロー、取り引きのための通信プロトコルなど、幅広い範囲の仕様策定を行う。

 今回の実証デモでは、ある企業がebXMLのリポジトリの中から条件にあう取引先を選定。さらにその取引先のTPA(Trade Partner Agreement)をリポジトリから引き出して取引条件や通信インターフェイス、文書フォーマットなどを確認。その条件に合わせて、HTTPにのせたebXMLフォーマットのXML文書を使って、取引相手とB2Bを開始する、というもの。シスコ、サン・マイクロシステムズ、富士通、NTTコミュニケーションズ、IBMなど、国内外のメーカー15社がデモに参加。通信の信頼性や文書の互換性などを確認し、すべてうまくいったという。

 現在、こうしたBtoBの標準化をすすめている団体としてRosettaNetや、マイクロソフト、IBM、Aribaなどが進めているUDDIなどがある。ebXML議長のクラウス・ノーヤック(Klaus Dieter Naujok)氏は、「ebXMLはどのメーカーの独自仕様でも、特定のベンダーが支配するものでもない。国連とOASISが推進する本当の国際規格だ」と、ebXMLの強みを語る。

 ebXMLの正式仕様は、来年5月のウィーンの会議で「ebXML1.0」が発表される予定だ。

(編集局 新野淳一)

[関連リンク]
ebXML
OASIS

[関連記事]
米MS、BtoBを加速するイニシアティブ
インフォテリアがXML対応BtoBサーバを発表
国内唯一のXMLの祭典開催
MSとIBMが手を組み推進する「Web Services」とは何か
B2Bにフォーカスしたエキスポ、ICe開催

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)