「いったいITって何?」サン、ドットコムのイベントを開催
2000/11/22
同社の製品の展示も行われている |
サン・マイクロシステムズが、都内でイベント「Sun dot-com Summit 2000」を開催中だ。“ビジネスをドットコム化する”と一貫したメッセージを発信しつづけている同社のビジネス動向にフォーカスをあてたセミナー・イベントである。
既存秩序の破壊、その先のビジョン
代表取締役社長の菅原敏明氏の「日本のIT化、インターネット革命は避けて通れない。日本企業のドットコム革命、IT革命に寄与したい」という挨拶の言葉で初日のゼネラルセッションは幕を開けた。
ザ・ビートルズの『レボリューション』の流れる中、登場した、一橋大学イノベーション研究センター長の米倉誠一郎教授は、実に痛快なスピーチとパフォーマンスで聴衆を興奮させた。題目は、『日米IT展望』。
米倉氏のスピーチは、「今までの社会を効率化するのではだめだ」という警告から始まる。「既存秩序を破壊するもの――だから革命なのだ」(米倉氏)。既存の価値観の破壊からまず行わなければ、新しい基盤へと移行できない。
『レボリューション』(ザ・ビートルズ)で入場、『パワー・トゥ・ザ・ピープル』(ジョン・レノン)で退場した米倉氏。テニスのほかロックンロールも趣味だそうだ |
「ITとは何か?ITにより何を手に入れるのか?」と会場に問いかける。最大の収穫は、バーチャルリアリティ(現実を超えた現実)で、新しい基盤では、官・民、大・小、中央・地方、組織・個人、生産・消費などの関係が崩壊、消滅するという。「2000万円の新聞広告より、Webサイトのたった一行の書きこみの方が効果がある。ルールがまったく変わるのだ」(米倉氏)。
新基盤への移行は大きなビジョンを描けずして達成されないという。米倉氏は、日本が成果とするべきビジョンとして「豊かな人間的社会の出現」「世界から必要とされる日本」の2点を提唱した。
「日本があって良かった」といわれる日本を
インターネット技術を育み、それにより繁栄を築いた米国だが、もともとはインターネットとは核戦争に備え、機密情報を分散する技術だった。知識立国を明確にした国作りや1都市に集中しない国土設計、機会が平等にある競争社会と利点を並べる。それはそのまま日本の欠点でもあるわけだが、日本の存在意義を「日本があって良かった」といわれるように高めるべきだというのが米倉氏の主張だ。「モノを売るばかりではだめ。ソリューションを。車ではなく交通ソリューションを。工場ではなく省エネルギーや反公害システムを」。
米倉氏は“イノベーション”をテーマに研究を行い、ベンチャービジネスへの応援活動で知られている。この日は終始、軽いフットワークでステージを、ときには壇上から降りてきて会場全体を動き回った。日本の将来像を「大企業、ベンチャー、大学がそれぞれの役割を担い、構成していく社会」と見る。そして、日本が変わるためにも「失敗を前提とした社会を。転んだやつを笑わない――歩かなければ転ばない。ベンチャーや新しいことにチャレンジする人たちを支援していこう」と呼びかけた。
ドットコム化はトップの決断なしには実現しない――
サンでは創業当時より“Network is the Computer”を掲げ、企業のネットワーク化を推進するというメッセージを発してきた。インターネットがすでに第2フェーズに入り、単に導入するだけではなくより具体的に「何を」「どうやって」導入し、運用するかを統合的にサポートする目的で作成したプログラム体系が「iForce Initiative」だ。日本では今年の春に発表となり、同社の東京・用賀にあるオフィスに「iForce Ready Center」を開設した。
「スケーラビリティが大切」(甲斐氏) |
同プログラムを説明したマーケティング統括本部本部長甲斐英隆氏は、「ドットコム化のプロセスで避けて通れないことは、今まで大切にしてきたものを捨てること」という。情報システム主導ではなく、経営者がトップダウンで決断する必要性を強調した。さらには「ついていけない社員の意識改革」もトップの課題にあるという。 同プログラムは、「ビジネス戦略→ドットコムアーキテクチャ→統合戦略→導入と管理」という、同社の敷くロードマップに沿って展開され、「Iforce Ready Center」はその検証の場となる。
イベントの共通したメッセージは、「パラダイムシフトの認識を」に尽きるだろう。「曲がった道を曲がったまま舗装するのではない」(甲斐氏)、「今までの社会を効率化するのではだめだ」(米倉氏)。革命の時代、変化の時代といわれる現在、いかに変革をとげていくかが企業、引いてはリーダーシップをとる経営者に問われている。
(編集局 末岡洋子)
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「Sun
dot-com Summit 2000」
サン・マイクロシステムズ
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