気になるSunのLinuxへの対応が明らかに

2001/2/2
(01/30/01, 12:06 p.m. ET) By Barbara Darrow, TechWeb News

 Linuxにとって次のフロンティアはエンタープライズだ。IBMからHewlett-PackardやDell、Computer Associatesと、すでに後押しとなる心強い企業を味方につけてはいたが、クエスチョン・マークは残っていた――Sun Microsystemsだ。

 サーバの最大手であるSunはこれまで、Linuxとなるとあいまいな態度を取り続けてきた。GNOMEをサポートし、StarOfficeのコードを公表する程度しか、取り組みは見られなかった。「Sunは同社のマシンにLinuxを載せることに消極的」とみる観測筋は多く、実際に同社ではサービスを限定していた。

 しかし、新しいLinuxカーネルである2.4はマルチプロセッシング対応レベルまでの拡張性がある、と言われており、SunはLinuxへの対応により真摯になる必要があった。

 多くのアナリストが、米ニューヨークで開催中のLinuxWorld Conference and Expoで、Sunが飛び交う憶測を一掃してくれるだろうと期待した。同社Linux Program OfficeのマネージャであるHerb Hinstorff氏によると、同社はJavaのフレームワークをベースとしたキオスクを披露し、Windows、Solaris、LinuxをサポートするJDK 1.3のHotspotコンパイラにハイライトをあてることになっている。

 「われわれのLinuxへのコミットは、広く、深い」とHinstorff氏は語っている。「問題なのは、現在、LinuxはIntelで実績を積んできたこと。われわれはIntelプラットフォームではない」

 SunはGNOMEの設立時からのメンバーで、「CDE(Connected Device Configuration)を入れ替えて、GNOME 2.0をSolarisデスクトップとして利用できるようにする予定だ」と同社スポークスマン、Brett Smith氏は述べている。また、SunはOpenOffice.orgを結成し多大な貢献をしており、そのコードはStarOffice 6の土台となるという。

 だが、外部の人間には、Sunのサポートは他社と比較すると明らかに少ないと見られてきた。「LinuxはSunの提唱するオープンシステムの見方にマッチする。その一方で、Sunの収入源であるSolarisではない。そのために同社は厄介なポジションに陥った」と調査会社The Hurwitz Groupの社長Judith Hurwitz氏は分析する。

 Sunは他のハイテク大手企業とは異なり、Linuxアプリケーションをハイエンドなマシンに対応させるために活動しているOpen Source Development Laboratryには参画していない。Sun側はその理由を「招待されなかった」としているが、先出のHinsotorff氏によれば、もし招待されれば参加を考慮するという。現在、2.4カーネルで、Linuxは4または8wayプロセッサのマシンに対応することになる(それでもHP-UXやAIXのようなUNIXマシンの方がスケーラビリティでは勝るが…)。

 Sunが「他のUNIXベンダーと比較すると、Linuxをサポートした場合に失うものが多すぎる」(IDC システム・ソフトウェア・アナリスト Al Gillen氏)というのが根底にある問題のようだ。IBMやHPの場合、他社との戦いで負けるよりも自社のビジネスを失った方が賢明だ、と判断してLinuxの流行に乗っているようだ。

 同じくIDCのシステム・ソフトウェア部門副社長Dan Kusnetzky氏も同意する。「もし調査をすれば、93から97%のLinuxがIntelプロセッサのマシンにインストールされている。残りはRISCアーキテクチャの間で等分されるだろう。そしてこのことは、Sunのハードウェア部隊を勇気づけるものではないだろう」(Dan Kusnetzky氏)。「IBMやHPとは違い、SunはUNIXのマーケットシェアを握っている。そのために守るものが多く、失うものも多いのだ」とDan Kusnetzky氏は続ける。Sunは、同社の混同したLinuxに対するメッセージが会社にとって損失となりはじめたことに気がついたのでは、と多くのアナリストは見ているようだ。「Sunは必ずしもLinuxと近い関係ではない同社のポジションを気にして、今後、StarOfficeを含めて取り組んでいることを示すだろう」(Gillen氏)

 このショウでは、Linuxをよりよい企業の一員とするような論議も持ちあがるといわれている。熱心なオープン・ソース家ですら、Linuxとオープンソースがエンタープライズ分野に進出するにあたり、開発まわりに関しては変わる必要があると同意する。「Apacheのときのようにはいかないだろう。Apache(オープンソースによるWebサーバ)では、人々はそれが検証される以前から、それを運用し、ビジネスを行い、そして依存していた」と、HPの社員で熱心なオープンソース家として知られるBruce Perens氏は言う。

 相互接続性はLinuxが今後進化する上で大きな問題となるだろう。「Linux、UNIX、そしてそれ以外のOSを共存させるとどうなるか、といったテーマをよく耳にすることになるだろう」とGillen氏。「Linuxがアメリカという企業に場所を見出すことはごく自然の進化。だがそのためにはすでにあるものと相互接続される必要がある」(Gillen氏)

 ショウの基調講演ではIBM、Intel、VA Linux、SuSE Linux AGの幹部が登壇した。そしてSunは「J2ME(Java 2 Platform, Micro Edition)Connected Device Configuration(CDC)」と呼ばれるデジタル家電やSTB(セット・トップ・ボックス)用のLinux対応のJavaを発表した。

*この記事は一部編集しています。

[英文記事]
Will Sun Take The Linux Plunge?

[関連リンク]
米サン・マイクロシステムズの発表記事

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