サン、新製品群「Sun Fire」でメインフレーム市場へ挑戦

2001/4/10

「Sun Fire」ファミリー
 サン・マイクロシステムズは4月9日、新しいミッドレンジサーバ製品群「Sun Fire」を発表した。メインフレーム級の性能をミッドレンジの価格で提供することが最大の特徴で、同社は「ミッドフレーム・サーバ」と定義し、市場の開拓を図っていく。

 新製品群は、「Sun Fire 3800」「Sun Fire 4800」「Sun Fire 4810」「Sun Fire 6800」の4機種で構成される。CPUは、750MHzのUltra SPARC IIIをそれぞれ8、12、12、24基搭載し、動作環境はSolaris 8。筐体は標準19インチのラック、または専用キャビネットに設置が可能。データセンターでの利用を見込む。

 「Sun Fire」ファミリーがメインフレーム並みの信頼性と低コストの両立を実現したのはそのアーキテクチャにあるという。システムインターコネクトに、これまでStarfireのみで利用されていた「Fireplane Switch」を採用、クロスバースイッチを搭載し、実効帯域幅は毎秒9.6GBytes(現行製品の約3倍)。CPU/メモリ・ボードではUltra SPARC III、IVの両方をサポート、両CPUのシステム内での混在も基本的には可能という。SDRAMモジュールを32スロット備え、ホットスワップ対応。全機種に同じボードを使用した。これらシステム・コントローラは全てボード化され、2重化して組み込まれている。

「Sun Fire 6800」の説明をする山本氏

 もう1つの特徴はダイナミック・システム・ドメイン(動的物理分割機能)。これまでStarfireのみでサポートされてきたこの機能を全機種に搭載した。これにより複数システム(ドメイン)を1台のサーバ上で稼働できるようになる。各ドメインは完全に分離・独立しており、あるドメインがダウンしても他のドメインが影響を受けることはなく、稼働中にドメイン間の変更、削除、追加が行える。

 全機種に同じシステム・アーキテクチャを採用し、各コンポーネントは互換性があり交換が可能。ユーザーは投資を保護できるという。(詳しい仕様は下の表の通り)

「現在の米経済のスロー・ダウンは、サンにとってはマーケットシェア獲得のチャンス」と自信を見せるShahin Khan氏

 「弊社の歴史上、そして業界にとっても、重要な発表だ」と米サン・マイクロシステムズSystem Productグループ Vice President of Product Marketing and PlanningのShahin Khan氏は発表の席で述べた。Khan氏の言葉にあるように、同社が新製品群「Sun Fire」にかける意気込みは高い。3月21日に行われた米国での発表では、会長兼CEOのスコット・マクネリ(Scott McNealy)氏が汎用機を倒すパファーマンスを行ったことが報じられたが、代表取締役社長 菅原敏明氏は穏やかな口調で、「弊社はインターネット・サーバとしては世界でナンバー1の地位に立った。今度はメインフレーム市場へ挑戦する」と野心を語った。

 同社では、今後も「Sun Enterprise」製品群の販売・サポートを続ける。同社エンタープライズ・サーバー事業部統括本部長 山本恭典氏は“ミッドフレーム”という新しい市場について、市場創造というよりすでにある市場にサンが名前を与えただけと見る。「われわれは(メインフレームとオープンシステムは)共存すると見ているが、メインフレームを(オープンシステムへ)置きかえたいというユーザーのニーズは非常に高いのが感想」(山本氏)。“ミッドフレーム”という言葉はすぐに定着すると語った。

主な仕様
「Sun Fire 3800」
メモリ 最大64GB
I/0 cPCIスロット×12
ドメイン 2
「Sun Fire 4800」
メモリ 最大96GB
I/0 PCIスロット×16あるいはcPCIスロット×16
ドメイン 2
「Sun Fire 4810」
メモリ 最大96GB
I/0 PCIスロット×16あるいはcPCIスロット×16
ドメイン 2
「Sun Fire 6800」
メモリ 最大192GB
I/0 PCIスロット×32あるいはcPCIスロット×16
ドメイン 4

 

[関連リンク]
サン・マイクロシステムズの発表資料

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