すべての問題を解決してくれるアプライアンス・サーバ

2001/6/19
By Amy D Wohl, VARBusiness 11:53 AM EST Thurs., May 24, 2001

 業界では現在、汎用コンピュータ1台で文字通りいかなる作業でも実行できた方が良いのか(用途はソフトウェアの追加により定義される)、それとも特定の作業に最適化されたアプライアンスを構築した方が良いのかという論争が繰り広げられている。

 これまでこうした論議は、PCのようなデスクトップデバイスとPDAやハンドヘルドコンピュータなどの小型の個人用デバイスについて行われてきた。例えば、「ユーザーにとって通話に最適化された携帯電話以外に、情報へのアクセス、格納、検索に最適化された専用の個人情報デバイスを持つ方が使い勝手が良いのか?」という具合にだ。

 この議論がいまになって再び話題になっている。たとえ規模の小さいオフィスや家庭でも、システムが複雑になれば、うまく管理するには多数の機能を実行する必要がある。このように小規模システムでは、ユーザーの選択肢には次の3つがある。

  1. 熟練したIT担当者であること、もしくはそうなること(大半の人々にとってはあまり現実的な選択肢とはいえない)。
  2. 熟練したIT担当者を定期的に採用して給料を支払う(ここが痛みをともなう部分だ)。
  3. 必要な機能を使わない。

 これらの機能には、ファイヤウォール、セキュリティ、インターネットへの接続、そしてディレクトリ・サービスなどがある。

 サーバアプライアンスは、ITのリソースが多くない環境のユーザーにとっては良い解決策となるかもしれない。アプライアンスは、標準もしくは専用のハードウェアを基盤に構築され、さまざまなOSで動作するが、ユーザーはハードウェアもOSの種類も特に気にしなくてよい。これらのデバイスを購入する理由は、箱から取り出してすぐに使い始められるソフトウェアが初めからプリインストールされているからだ。電源を差し込み、ネットワークに接続して必要な情報(ユーザー名やほかのデバイスのIPなど)を入力すれば、アプライアンスが不思議な力を与えてくれるというわけだ。

 例えば、米サン・マイクロシステムズが米コバルト・ネットワークスを買収した(「Linuxにスポットを当てたSunとCobaltの合併」参照)のは、サーバアプライアンス市場に参入するためだった。サンのデバイスは高性能で高価格だし、導入コストもかなりの金額になる。コバルトを買収することで、これまでサンのテリトリーではなかった市場にリーチできたのだ。コバルトの製品は、セキュリティを提供するファイヤウォール、完全なインターネット/イントラネットサーバパッケージ、パフォーマンスを向上させるキャッシングサーバ、もしくはホスティング用のWeb/アプライアンスサーバとして設定することができる。

 IBMをはじめ、あらゆるハードウェアベンダーも各種アプライアンスサーバを取りそろえており、通常、さまざまなソフトウェア製品によってあらかじめ設定されている。

 だが、ここで注意すべき点がある。手をかけることなく導入できるのがアプライアンスサーバの利点だが、サーバを必要とする組織は、複数の機能を購入しなければならない場合が多く、アプリケーションをカスタマイズしたり、カスタム化したアプリケーションを追加する必要がある。こうなると完全にVAR(付加価値再版業者)の領域になってくる。

 大半のサーバアプライアンスの中味は、実際はOSとツールを搭載した汎用コンピュータになっており、しかるべきVARであれば、カスタマーにピッタリのアプリケーションサーバを作成することができる。豪邸に住む大金持ちでもない限り、ホームユーザー向けのソリューションにはならないだろう。だが、小規模企業や、規模は大きくても諸事情によりITスタッフがいなかったり不足している企業にとっては、適切なソリューションと成り得るだろう。

 電源にさえ差し込めば、アプライアンスサーバはほとんど自動的に機能する。ユーザーはサービス残業をすることなく運用できるはずだ、ということは覚えておきたい。

[英文記事]
Appliances: Making Life Easier

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