統合開発環境の重要性を説くウェブゲイン

2001/6/26

 米ウェブゲインは、米BEAシステムズが米国の投資会社Warburg Pincus Venturesと共同で立ち上げた統合開発ツールのベンダー。2000年1月に米シマンテックのJava統合開発ツールとして人気の高かった「VisualCafe」を買収、本格的にビジネスを開始した。日本では2000年末に日本法人、ウェブゲインジャパンを立ち上げた。6月22日、ウェブゲインジャパンは初の単独製品セミナーを開催し、製品紹介や今後の販売戦略を明らかにした。

 あいさつを行った同社代表取締役社長湯本敏久氏は、新たな局面を迎えつつある開発ツール市場について語った。Javaの開発環境は、なかなか仕様が定まらず標準化に時間がかかってきた。ニーズを一気に押し上げたのがJavaアプリケーション・サーバの台頭だ。そして現在、Java技術のさまざまな標準が登場し、開発者が利用する技術も多様化した。さらに、“タイム・ツー・マーケット”がキーワードのeビジネスでは、開発にかかる工数の短縮が求められている。また、プロジェクトにかかわる開発者が増え、整合性、一貫性の保守が容易ではなくなった。

 「eビジネス・アプリケーションの開発をトータルでサポートできるツール群が求められている」と湯本氏は言う。同社では開発から統合、継続的改善という一連のプロセスをサポートし、迅速なアプリケーション開発を実現するツールを提供するという。

 湯本氏は、シームレスな開発作業の重要さを示す例として、エラー修復コストを挙げた。エラー(バグ)は開発作業に付き物だが、要求定義の段階でエラーが発覚した際の修復コストを1とすれば、設計時には3〜6倍に、開発・コーディング時には10倍に、導入時には40〜100倍にも膨れあがってしまうという。

 ウェブゲインの提供する製品は、「WebGain VisualCafe」を中核に、UMLを使ったビジネスロジック構築をサポートするモデリング・ツール「WebGain Structure Builder」、RDBMSとのマッピング・ツール「WebGain TOPLink」などがある。企業買収により製品・技術を取り込んできた同社だが、今年4月にMetamataというJavaソースコードのチェッカー技術を持つ企業を買収し、ウェブゲインブランドを付けた「Quality Analyzer」を発表した。また、同時期に「VisualCafe Standard Edition」の日本語版無償ダウンロードサービスを開始。すでに8000件以上のダウンロードがあったという。

 製品は単体でも入手可能だが、トータルソリューションにこだわる同社では、3つの製品体系にまとめて提供している。要求定義など上流をカバーする「WebGain Business Design Suite」、開発やコーディングレベルをカバーする「WebGain Studio」、そしてコンポーネントの組み立てをカバーする「WebGain Composition Suite」だ。このうち、同社が最も力を入れているのがWebGain Studioだ。「VisualCafe Enterprise 4.1」「Structure Builder 4.1」「TOPLink」「Quality Analyzer」、BEAの「WebLogic Server 5.1」、マクロメディアの「Dreamweaver UltraDev」、「JSP Extention」などを含むスィート製品で、現行はバージョン4.1、今年の夏には4.5を出荷する予定である。

 同社の製品は、住商エレクトロニクスなどのリセラーを通じて、あるいは店頭で購入できる。今後は販売チャネルを拡充し、プロモーション活動も積極的に展開する。その一例が6月15日より、ゼンテック・テクノロジー・ジャパンらと共同で無償提供を開始したiアプリの統合開発ツール「i+VisualCafe」。同製品は3種類の評価版のセットで、「VisualCafe Expert Edition」が4万9800円で購入できる申込書が同梱されている。

 Javaアプリケーション・サーバを提供するIBMやボーランドからも統合開発環境が提供されているが、特定のアプリケーション・サーバにしか対応していない。しかし、ウェブゲインでは中立的な立場を保って行くという。VisualCafeはBEA WebLogic、iPlanetに対応しており、将来的には「HP Bluestone」「IBM WebSphere」にも対応予定という。

(編集局 末岡洋子)

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ウェブゲインジャパン

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