組み込み市場でのLinuxの有望性を説くモンタビスタ
2001/10/18
組み込み市場にもLinuxの波が押し寄せている。「今後5年以内にLinuxを使う」と回答した組み込み開発者は約半数に上り、組み込み市場においてLinuxは年成長率60%で成長するといわれている(米VDC調べ)。10月17日、組み込みシステム向けに最適化したLinuxを提供する米モンタビスタソフトウェアのマーケティング担当副社長 シーラ・ベーカ(Sheila Baker)氏と同社日本法人 モンタビスタソフトウェア ジャパンの代表取締役社長 有馬仁志氏が組み込み市場におけるLinuxの現状と展望、および同社の戦略について語った。
シーラ・ベーカ氏 |
ベーカ氏によれば、組み込みLinuxアプリケーションは、ルータやスイッチなどの通信機器、およびSTB(セット・トップ・ボックス)などのデジタル・コンシューマ機器の2分野に大別できるという。北米では通信機器を中心に採用が進んでいるが、日本では後者での採用が急速に進んでいるという。背景には家電メーカーによるデジタル家電への適用があるようだ。
組み込み市場でLinuxが成長する要因として、ベーカ氏は、コスト削減や接続性を挙げる。これまで組み込みOSでは独自システムが多くを占めていたが、今後の傾向として、標準技術をベースとした商用ソリューションを利用するケースが増えるとベーカ氏は見ている。「組み込み市場にもオープン性が求められている」(ベーカ氏)。
米モンタビスタは1999年に設立、日本法人は2000年7月に設立された。主力製品「Hard Hat Linux」を中心に世界6拠点で事業を展開している。
今年リリースされたばかりの最新版「Hard Hat Linux2.0」では、Linuxカーネル2.4をサポート、100%ピュアLinuxのコンポーネントのみを統合しているため、ランタイムロイヤリティに縛られることはないという。約25種類のCPUと75種類のボードをサポートする。開発ホストプラットフォームとしては、Red Hatなど8種類をサポートした。開発期間を短縮し、コストを削減できるのが特徴で、有馬社長によれば、「従来のOSに比較して、開発期間は半分以下になった例もある」という。
同社ではHard Hat Linux Professional Editionと各種サポートをパックにして「サブスクリプション契約」として提供している。また、これに追加する技術やトレーニングなどのサービス事業の提供も開始した。
同社の日本法人は現在、家電メーカーを中心に採用が相次いだことがあり、絶好調で売り上げを伸ばしているという。すでに今年の売り上げは目標額を上回って117%に達しており、来年は今年度比2.5倍増を目指す。「日本での組み込みLinuxではナンバー1の座を獲得した。近い将来はWind Riverを追い越し、組み込み市場全体での首位獲得を目指す」と有馬社長は意気込みを見せた。
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