ウイルスを防ぐ最大の砦は"基本にある"とNAI
2001/11/30
ネットワークアソシエイツ(NAI)のアンチウイルス緊急対策チーム(AVERT)リサーチ・ディレクター ヴィンセント・ガロット(Vincent Gullotto)氏が11月29日来日し、今後のコンピュータウイルス対策について会見を行った。AVERTとは、同社のコンピュータセキュリティ全般の研究をするため独立した研究部門。
AVERT リサーチ・ディレクター ヴィンセント・ガロット氏 |
今年は、CodeRed、Nimdaなどの悪質なコンピュータウイルスが横行した。ヴィンセント・ガロット氏はまず、こうしたウイルスが、なぜいままん延しているのかについて語った。
ウイルスは、1998〜1999年にかけて非常に発生数が増えた。これはPCの技術力の発展と密接な関係があり、以前データのやり取りはフロッピーディスク(FD)に頼っていたが、ネットワークの普及により、FDに頼らず1つのプログラムを簡単に何万ものPCに送ることが可能になったことが原因だという。同氏はまた、同時にウイルスもマクロウイルスからインターネット系ウイルスにシフトした点も見逃せないと指摘した。その一方で、多くのエンドユーザーがいまだにウイルス対策ソフトとパターンファイルのアップデートの必要性を軽視していることを挙げ、現在も数え切れないほどのPCがウイルス対策をまったくしていないことも問題であるとしている。
なぜこのようなことが起こり続けるのか――。それは、PCの技術が進歩したことにより、ウイルス作成者が簡単にウイルスを作成できるようになったことにあると、ガロット氏はいう。この1年間でCodeRedやNimdaなどのウイルスが次々に作られたが、インターネットの急速な普及により、今後も人が介入せずに増殖するウイルスが横行し続けるだろうと同氏は予測する。また、送られて来たメールを何気なく開けてしまう、ある意味“自然な行為”に対しても、何らかの対策を行わなければ増殖は止まらないともいう。
ガロット氏は、今後のウイルス対策として最も懸念されることに、「ワイヤレス分野」と指摘する。AVERTの実験で、ワイヤレスLANを使って企業のネットワークに侵入できることが確認されており、ハッカーが会社の近くからハッキング行為を行うことは簡単だという。では、“ワイヤレスセキュリティは何をすべきか”という疑問に対しては、暗号化、VPNクライアントの使用、ワイヤレスの監視などの対策が必要であると例を挙げた。
最後にガロット氏は、「企業は会社のセキュリティポリシーを構築し、このポリシーを守るシステムを管理者が管理すること、また従業員の教育を強化することも必須である」と語った。個人ユーザーに関しても、ユーザーが意識を高く持つことが必要だ。具体的には、インターネットサービスプロバイダなどのサービスを提供する側が、どのようなセキュリティ対策をしているのかを知る必要があるとも警告した。
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