富士通とオラクル、SIを囲い込みオープン化を促進

2001/12/6

 富士通と日本オラクルは12月5日、都内で会見を開き、これまで両社が展開してきた技術研究や検証をさらに強化することを明らかにした。今回の提携は主に基幹システム分野に関するもので、両社では来年1月にもコンソーシアムを設立し、SI事業者と共に進めていく。

 両社のパートナー関係は1980年代から。特に富士通が1999年から3年連続して日本国内におけるオラクル製品の販売実績ナンバー1となるなど、両社は多くのアライアンス、国内に3カ所ある検証センターで協業してきた。

SI事業者へのメリットを強調する両社の代表者。左が日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明社長、右が富士通 代表取締役副社長 杉田忠靖氏

 今回、両社はこれまでの協業関係をさらに拡大させ、1)個別技術における共同研究・検証、2)SI事業者とコンソーシアム「オープンプラットフォームコンソーシアム」(仮称)を設立、の2点を行う。

 技術検証・研究については、富士通のサーバ(「PRIMEPOWER」、「PRIMERGY」など)、ストレージ(「GR700シリーズ」、「NR」など)、アプリケーション・サーバなどのソフトウェア(「INTERSTAGE」、「SystemWalker」など)とオラクルのデータベース「Oracle 9i」が対象となる。製品開発段階から協力することで、速く、安定した形で提供できるなどの効果を見込むという。また、米オラクルが開発用マシンとして「PRIMEPOWER」と「GR」を使用する。これにより、オラクル製品の出荷と同時にこれらの製品の使用が可能となるという。

 コンソーシアムについては、24時間365日連続稼働が要求されるミッションクリティカル分野でのオープンなシステム構築を支援する。具体的には、富士通とオラクル側から両社製品の検証などで得られた技術情報の提供、SI事業者側からの事例やニーズに関する情報提供により、効率の良いシステム構築の実現、基幹システム分野での技術の標準化を狙う。分科会活動をベースとし、ミッションクリティカルシステムのほか、Linuxやチューニングに関しても研究を進めたいとした。

 同コンソーシアムは来年1月に発足の予定で、30社ほどの規模で運営して行く。すでに、アイ・ティ・フロンティア、TIS、NTTソフトウェアなどのSI事業者が参加を表明している。

 コンソーシアムを設立する背景として、両社は、オープン化によるSI各社の一種の混乱を示唆する。「何をどう組み合わせるかの基盤部分の負担を軽くし、SI事業者は本来の領域に専念してもらえる」(富士通 常務理事 コンピュータ事業本部副部長 平木秀氏)。また、「オープンシステムとは、さまざまな製品が利用できることを意味する。組み合わせは自在となるが、検証という新たな負担が生じている」(同氏)とも言う。

 もう1つの要因がe-Japanだ。先日、日立製作所が750円で東京都の文書管理システムを落札するなど過熱気味だが、電子政府市場は日本オラクルにとっては3大注力分野の1つ。この日、同社代表取締役社長 新宅正明氏は、「コンソーシアムにより、オープンシステムが本格稼働できる検証済みのインフラを提供する」と述べ、メリットとしての信頼性を強調した。

(編集局 末岡洋子)

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富士通の発表資料
日本オラクルの発表資料

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