過去の成功をかなぐり捨て、更なる拡大を目指す日本オラクル

2001/1/20

 日本オラクルは1月18日、都内ホテルで新年記者懇談会を開いた。佐野力氏を引き継いで2000年8月より代表取締役に就任、この1月15日にCEO兼任となった新宅正明氏が登場し、先日発表された決算の概況と事業戦略を明らかにした。

相変わらず順調な日本オラクル 米本社ではライフサイエンスにも取り組んでいるという(代表取締役社長兼CEOの新宅正明氏)

引き続き増収を達成

 このところ、米国のIT関連企業の2001年第2四半期の発表が相次いでいるが、米Oralceはじめ、米IBM、米Microsoft、米Sun、米Intelなど揃って増収。米国IT企業では、株価の動向など懸念事項は多いが、業績の不振は免れた格好だ。

 日本オラクルの中間期決算報告によれば、売上高、経常利益、ともに順調に増え、それぞれ396億5500万円、137億2500万円。「予想を上回る結果となった」(新宅社長)という。代表製品であるデータベースを含むサーバーテクノロジー部門、同社にとっては新規分野であり「Oracle Exchange」などこのところリリースの相次いだビジネスアプリケーション部門、ともに前年度と比較して30%を上回る成長を遂げた。特筆すべきはコンサルティング/サービス部門の58%の伸びだ。このうち70%はERP関連とのことで、ここ数年取り組んできた結果が出てきたといえるだろう。

DBビジネスの先にあるもの

 2001年の決意を聞かれ、「過去の成功をかなぐり捨てて、ソフトウェアで質・量、顧客の評価ともにトップを目指す」と新宅社長は抱負を語る。IT業界全体の課題として、景気動向や対ドルの為替動向により、企業の(IT関連への)設備投資が減ることも可能性として否定できないと見ており、そんな市場への同社の対策としては、「“製品+α”でアピールする。その準備体制は整った」(新宅社長)。

 同社の課題としては、引き続き「エンジニアの確保」を挙げる。社内だけでなく、パートナー各社にもオラクル・マスターや同社認定のコンサルタントなどの増員を目指しており、昨年10月には東京・渋谷に新しく研修センターを設けた。同時に、米国やアジア各国など世界からコンサルティング部隊を動員することも計画にあるようだ。

 本国での成功が必ずしも日本での成功に結びつかないと言われるなか、日本オラクルは、日本に進出した外資系IT企業の成功例として名高い。「競争意識を持つことは重要」という新宅社長、ライバルは、「データベースではIBM、マイクロソフト。ERPではSAP…」と企業名を連ねる。1985年に設立された同社は、常に競争の中に身を置き、サイベースなど当時の競合相手に追いつき追い越してきた歴史をもつ。数年前からは、データベース専業から徐々に範囲を拡大し、停滞することなく成長を続け今日に至る。2000年5月に株式分割を行い公開企業となった。透明度の高い経営を目指し、今年1月15日には、昨年8月に引き続き経営体制の改革を行っている。

 同社は今後、高いシェアを誇るデータベースをベースとして、ERP、そして後発だがSCM、CRMの構築ビジネスにフォーカスをシフトすると思われる。その先には、BtoBの括りのもと、マーケットプレイスというターゲットが控えている。マーケットプレイス関連の市場に関しては、同社に限らず日本全体で立ちあがりの遅さが指摘できるが、今週米国で発表されたBtoB関連の新製品が、日本でも今月中にも明らかになる模様だ。今年も「オラクル」という社名をあちらこちらで聞くことができそうだ。

(編集局 末岡洋子)

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