英ソフォス、「後発でもウイルス検知技術とサポート力では負けない」
2001/12/11
アンチウイルスベンダのソフォスは、SMTPサーバでウイルスを検知する新製品「MailMonitor for SMTP」を発表した。12月10日より同社Webサイトからダウンロードが可能。
ソフォスは1980年創業の英国のウイルスベンダ。欧州では最大のシェアを占め、収益ベースで見るとアンチウイルスベンダ市場の世界第3位に位置している。法人市場のみをターゲットに展開しており、顧客数は約3万6000社。昨年度の売上高は2700万ポンド、利益は700万ポンドで、今年度は売上高で前年度比50%増、収益で同25%増を見込んでいる。日本支社は昨年7月に開設した。
ヤン・フルスカ氏「ウイルス対策は、技術とソーシャル・エンジニアリングの両側面からとらえるべき」 |
当時は一笑したウイルスが、現実のものに
12月7日に行われた製品発表の席で、英国本社の創業者兼CEO ヤン・フルスカ(Dr. Jan Hruska)氏は、ウイルスの歴史に触れ、今日のウイルスと企業システムについて語った。「1984年に“ウイルス”という言葉が最初に論文に登場した時、みなは“ありえない”と一笑したが、その2年後の1986年に最初の大規模なウイルス「Brain」が発見されて以来、ウイルスの数は増加の一途をたどっている」(フルスカ氏)。正確には、ウイルスが“コンピュータウイルス”という言葉でSF小説に登場したのはさらに前の1972年、いまからさかのぼること30年だ。
ウイルスにとって転機となったのが1995年。マイクロソフトのWord文書を感染させるマクロウイルス「WM/Concept」の発生だ。その後、Office、Access、PowerPoint、さらにはJavaと対象を増やし、1999年、電子メールを介して広がるウイルス「BubbleBoy」が登場する。それ以降は「LoveLetter」「Nimda」など記憶に新しい。それにしてもここ最近の発生から伝染までの速度と被害の範囲は驚くばかりだ。それは、新聞などのメディアで取り上げられる期間を見ても明らか。以前は同じウイルスが10日間、1週間と話題になったが最近では2、3日で終わってしまう。それくらい頻度が増し、非日常のものではなくなってきたということだろう。
ウイルスが広まる原因について、同氏は、OfficeやWindows 9xなどプラットフォームが標準化したこと、マイクロソフトがVisual Basic Applicationsを統合したこと、そしてe-○○に代表されるインターネットの普及を挙げる。現在のトレンドを「W32(Windows 9xとNTの総称)上で広がるウイルスの増加、マクロウイルスとスクリプトウイルスの増加、ネットワークの性質を利用したウイルスの増加」とし、今後もこの傾向は続くとした。「現在のトレンドはここ2〜3年は続くだろう。これ以外にも、ネットワークに侵入し権限を奪う“トロイの木馬”型ウイルスも増加すると予測している」(フルスカ氏)。
技術とサポートで差別化を図る
高い技術力を製品とサービス・サポートに反映させるという同社では、日々発生するウイルスを月1000件程度、ラボで研究している。サポート済みのプラットフォームは、WindowsやLinuxなど全部で22と最大数。それ以外に、ウイルスの検知を行う「Virus engine」など4つのソフトウェア開発部隊を持ち、早期発見とより広範なプラットフォームのサポートに努めているという。例えば、「パームOSで発生したウイルスに関しても、検知から数時間後に情報を提供することができた」とフルスカ氏は言う。
新製品は、Linuxベースのメールシステムとインターネットの間に設置するウイルスソフト。SMTPサーバから受信/送信した電子メールのウイルス検出を行う。圧縮添付ファイルにも対応する。柔軟な構成、柔軟な設定が特徴。例えば、管理者は感染メールの対策として駆除/隔離/置き換えなどを自由に設定できる。ノーツなどのグループウェアとの併用も可能。Linux以外のOSについてはサポートの予定はあるが、時期は未定。
今後の戦略として、同社代表取締役社長 アラン・ブロデリック(Alan Broderick)氏は、「高品質な製品とサービスの提供。特に、サポートに関してはタイムリーなアップデートを確実に行う」とした。日本市場進出は昨年と後発だが、すでに600社程度の顧客を獲得した。同氏は、「今後3年間は年2.5倍ずつ売り上げを拡大させる。差別化は、高い技術力と質の高いサポート。そのためにあえて個人ユーザー市場は狙わない」と意気込みを語った。
(編集局 末岡洋子)
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ソフォス
「MailMonitor
for SMTP」ダウンロード
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