確実なトランザクションを実現するHPのWebサービス
2002/3/26
米ヒューレット・パッカードはミドルウェア「hp netaction」をさらに強化する。Webサービスのプラットフォームとなる「hp web services platform」などの新バージョンを発表、今後も全社を挙げてソフトウェア事業に力を入れていくという。
HPは昨年2月に同社初のアプリケーションサーバ「hp Application Server」、5月にはJ2EE準拠の同アプリケーションサーバをベースとしたミドルウェア製品体系であるnetactionを発表し、年末にはアプリケーションサーバの無償提供など、この分野では出遅れたものの巻き返しを図ってきた。アプリケーションサーバに縛られない環境、マイクロソフトの.NETをはじめとした他のWebサービスとの相互運用性、オープンな標準技術などを特徴としたWebサービスの構築、実装を提唱している。
Christopher Benedetto氏 HP社内でも、受発注などでWebサービスの利用を開始しており、50%程度のコストを削減を達成しているという |
今回、同社は米サンフランシスコで開催されるJavaOneにて、アプリケーションサーバ上のプラットフォーム(HPでは“インターネット・オペレーティング環境(IOE)”と呼んでいる)「IOE web services platform」を構成する製品群のうち、主要なパーツとなる「hp web services platform」、「hp web services resistry」「hp web services transaction」「hp process manager interactive」の新バージョンを発表、開発者プログラムも強化した。
hp web services platform 2.0は、Webサービスの開発、実装、登録、発見、利用を行う製品。「hp SOAP Server」と、登録(レジストリ)およびサービス記述などを実現するツール群で構成される。その他、各機能に特化した製品が展開されているが、製品ラインの中で特徴的なのが、hp web services transactionだ。トランザクションの確実な処理のため、2フェイズ・コミットを実現する製品で、米HP ミドルウェア部門 Director of Business Planning and DevelopmentのChristopher Benedetto氏は、その重要性について、「確実なトランザクションは、Webサービスのベースともいえる機能。これが実現しないと実際の利用に発展しないだろう」と語る。同社は米BEAシステムズらとともに、Webサービスのトランザクションに関するプロトコルBTP(ビジネス・トランザクション・プロトコル)の策定を推進しており、同製品はBTPを実装した初の製品となる。また、この機能を利用することにより、.NETベースのWebサービスとの接続も可能となる。同製品には、トランザクション・コーディネータ、トランザクション・サーバ、クライアント・ライブラリが含まれる。
これに加え、開発期間の短縮などのニーズにこたえるため、同社のコンサルティング・チームらとともにインストールから設定などを迅速に行う体制も整えた。また、モバイルなどの分野特化型のソリューションとしての提供も行っていく。
開発コミュニティへの取り組みとしては、技術情報の提供やニュースグループプログラムなどがある。また、大学など学術機関への技術提供もあり、米国ではすでに開始、日本でも開始する予定だ。Benedetto氏によると、アプリケーションサーバの無償提供を開始以来、月平均1万件程度のダウンロードがあるという。同社ではそのうちの4〜6割を潜在ターゲットとして、さらなる開発コミュニティの強化を図っていく。
「相互接続性、オープンな標準技術ベース、ベンダ非依存性、既存資産(データ、アプリケーション)を生かす、この4点がHPのWebサービスの強み。相互接続性では、企業内でのWebサービスからファイアウォールを超えてのWebサービスまで、さらには.NETとJ2EEなど異なるプラットフォームをベースとしたWebサービスに関しても実現していく」とBenedetto氏。現在、同社では米国政府とともに、7200種類以上存在する消費税システムにおいての算出や送金を、Webサービスを使って簡略化、自動化するパイロットプロジェクトを開始しているという。
Webサービスでは出遅れたHPだが、いわゆる“Webサービス”という言葉が登場する前からアイデアとしては同義の“e-services”として技術コンセプトを持っていた。「マイクロソフトやIBMレベルの製品は持っている」(Benedetto氏)という同社。今後の課題はその品質をいかに市場に提示していくかにあるといえる。
(編集局 末岡洋子)
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