現実のWebアクセスの負荷を再現し、ボトルネックをあぶり出す

2002/4/3

 Webサイトの構築で問題となるのは、ユーザーからのアクセスがどれぐらいになりそうなのか、また構築したWebサイトがどれぐらいの負荷に耐えられるかを知ることだ。このことは、24時間止まらないWebシステムを作る前提である。特にブロードバンド環境が普及するにつれ、Webのボトルネックはユーザー側(回線速度)からWebサイト側へと移りつつある。そのためにも、こうしたことを知るのが一層重要なことになる。

 米Caw Networksは、Webサイトやユーザーのアクセス状態をシミュレーションするアプライアンスを製造、販売する企業だ。同社は昨年3月に日本に連絡事務所を開設、その後4社と代理店契約を結んだ。スタートして約1年、同社の日本での売上高は約2億5000万円で、これは順調な滑り出しだったと、同社日本オフィス ディレクターの勝部直人氏は認める。

 同社はようやく正式な事務所を渋谷に開設し、2年目の売り上げは2倍となる約5億円を見込む。Caw Networksの主力製品は、Webサイト環境をシミュレーション可能な「WebReflector」と、ユーザーのWebサイトへのアクセス環境をシミュレーション可能な「WebAvalanche」だ。

Caw Networks Vice President of Business DevelopmentのJohn Dunham氏は、同社の設立者の1人でもある

 それでは、そうした製品を持つCaw Networksの強みはどこにあるのか? 同社Vice President of Business DevelopmentのJohn Dunham氏は、「レイヤ4〜7層にフォーカスした企業は我々だけだ」と、同社製品の強みのを語った。ほかの企業はさらに下のレイヤや、1つの層に絞った製品を販売しているが、それではWebサイトやユーザーのアクセス状況を再現することにはならないという。「重要なのは、現実世界に近い負荷を再現することができるかだ」と、Dunham氏は強調する。

 同氏はさらに、「我々の製品は、現実のユーザー環境を再現するために、パケットロス、アクセススピード、それに多くのIPアドレスからのアクセスなどを再現できる。実際のインターネットでも、パケットロスが発生しない環境はない。実際、NASA(米国航空宇宙局)のWebサイトでは全体の2%のパケットロスにより、Webパフォーマンスは約半分になった」と、実際の環境に近いシミュレーション環境の重要性を述べる。

 同社の今後の戦略としては、同社の従来からのユーザーであるネットワーク機器ベンダ、XSP、システムインテグレータなどのほか、今年は企業向けにも力を入れたいという。日本での戦略に関しては、「まず今年中に日本オフィスを株式会社化すること。そして日本の方が取り組みが早いIPv6、携帯などのワイヤレス、さらにストリーミングなどのプロトコルの開発やサポートを行っていきたい」と、勝部氏が抱負を述べた。

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米Caw Networks

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