自社のWebサイトの性能を知るために(3)

2002/2/5
January 2, 2002 InternetWeek By Lenny Liebmann

ストリーミング機能の監視

 英ロイターの業務技術グループ社長、Graham Albutt氏によると、オンラインコンテンツに必要な監視ソリューションはサイトごとに異なるという。「リクエスト-レスポンス型のアプリケーションとストリーミングを使うものとでは、必要な対策にかなりの違いがある」とAlbutt氏。

 実際、自社のリクエスト-レスポンス型Webアプリに関して、ロイターではファイアウォール外の監視サービスを全く利用していない。「利用するサービスプロバイダーのパフォーマンスを自社でコントロールすることができないため、ISPのトラフィックを監視してもほとんど意味がない」(Albutt氏)からだ。

 しかし、ロイターのストリーミングメディアにとっては、エンドユーザーの視点から見たサービスレベルの監視は非常に重要な意味を持つ。「カスタマーは弊社が提供するタイムリーな情報に対して高価な料金を支払っている。カスタマーが確実にそのような情報を入手できるようにすることはわれわれの使命だ」(Albutt氏)。

 しかし、ファイアウォール外のサービスがリクエスト-レスポンス型のアプリの測定だけを意図していることを考えた場合、ストリーミングの監視については別のアプローチを取る必要があった。同氏はそのため、世界中に散らばったオフィスに設置されたPCに、主要プロバイダーから提供される専用のISP回線経由で、自社のサイトにアクセスさせている。

 世界各地のPCは、ロイターのカスタマーが使うものと同様のネットワーク回線を経由してストリーミングを受信する。社内のPCとストリーミングのソースを企業WANによってリンクすることで、アプリケーションのエンド間の待ち時間をある程度の精度でトラッキングできる。同社はさらに、アンケート調査という、旧式のテクニックも監視用として推奨する。「カスタマーに対して定期的に調査を実施し、実情に関するさまざまな質問をすることも重要だ」(Albutt氏)。

 ロイターでは、サービスレベルの監視方法を決める中で、ビジネス推進の基盤をなすものの進展の把握に務めている。例えば、高額な料金を請求するサービスには、より行き届いたサービスレベルの監視が求められることは明らかだ。ビジネス要求は徐々に変化する可能性があるが、商品市場が変化しやすくなればなるほど、カスタマーが確実に相場データを素早く入手できるようにしなければならない。また、サイト管理者は一時的なオンラインプロモーションプログラムなど、短期的なサービスレベル契約の要求にも対応する必要がある。

重要性が見なおされる履歴データ

 スーパーマーケットチェーンを展開する米Giant Eagleでデータベース運用技術マネージャを務めるDave Rupert氏は履歴データの重要性を強調し、「オンラインサービスレベルの確保という点で、リアルタイムのアラートと同程度に重要なものだ」という。「火曜日に発生した問題に金曜日に気付くこともあるので、事故が発生したときの状況を把握しておくことは重要」とRupert氏。

 Rupert氏は自社のバックエンドシステムの履歴スナップショットを取得する目的で、米Precise Software Solutionsの「Precise/Indepth for Oracle」アプリケーションを利用している。さらに、ネットワークやエンド間のパフォーマンス監視用として「Precise/Insight」も併用している。

 「現在では、データベース内で発生したWebサイト主導のアクティビティを数分単位で統計にすることができるようになった。これにより、診断のために当てずっぽうな判断を下すことが大幅に減った」とRupert氏は言う。

 それだけではない。履歴統計は、オンラインサービスに関して現実的なサービスレベル保証契約(SLA)を設定するためにも重要なのだ。

 Rupert氏によると、「3〜4秒かかるとページの読み込みが遅いように思うが、4億列ものデータで作業をしているような場合、これが実際には非常に高速なSLA目標値となる」という。履歴パフォーマンスをトラッキングし、回帰テストを実行することで、マネージャは、サイトのトラフィックとバックエンドデータベースの成長に合わせ、達成できるものとできないものを明確に把握することができる。

 先のS&PのWhitehead氏は、「適切なサイト監視ツールは絶対不可欠」と強調する。約2週間をかけて実装したTopazの採用で、S&Pは即座に数十万ドルのビジネスを確保できるようになったが、「パフォーマンスの問題をチェックせずにいたら、これらのビジネスチャンスは逃していただろう」と同氏は振りかえる。

 Webアプリケーションが洗練度を増す(そしてカスタマーの日常業務の依存度が高くなる)と、技術担当マネージャへのパフォーマンス監視のプレッシャーはさらに大きくなるのは、避けられない現実といえよう。

*この記事は3回に分けて掲載しています。((1)を読む(2)を読む

[英文記事]
Know Your Web Sites Inside And Out

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