[Interview]
急成長する日本のコンタクトセンター市場を狙う
2002/5/30
CRMという言葉の普及と歩調を合わせるように伸びているのが、コールセンター市場だ。今日では、店舗、営業部門、サービス部門に続く「第4のフロントライン」として重要視されるようになっている。
こうしたコールセンターを支援するシステムを構築するためのITソリューションも多数市場に登場しているが、コールセンター要員の評価や教育を支援するソリューションを提供するのが、ウィットネスシステムズだ。
米国では、この分野で80%を超えるシェアを誇る同社は、昨年8月に日本法人を設立、5月に日本語版製品をリリースし、本格的な営業活動を開始するという。
ウィットネスシステムズのレオ・キーリー(Leo Keeley)代表取締役社長、中曽根悟取締役部長に、日本進出の狙いと日本のコールセンター市場の特徴とそこへの取り組みを聞いた。
ウィットネスシステムズのレオ・キーリー代表取締役社長(左)と中曽根悟取締役部長 |
──ウィットネスシステムズの製品はどのようなものですか?
キーリー氏 コールセンターでの顧客とのやりとりを記録し、これを評価、分析することで、より良い顧客対応を実現するアプリケーション「eQuality」で、6つのツールで構成されています。
中心になる「eQuality Balance」は、電話音声とエージェントがどのようにシステムを操作したか、画面を同期して記録するツールです。このほか、電子メールの記録ツール、Webチャットの記録ツール、評価レポートツールや分析・解析ツールなどがあります。
──日本のコールセンター市場は、米国とどのような違いがありますか?
キーリー氏 米国では大規模なコールセンターが多く、最近は100席、500席、1000席といった大規模なコールセンターがトレンドになっています。それに対して、日本の場合は席数の小さいものが多いですね。
それから、電話以外のコンタクトでは、米国の場合はWeb経由が少し日本より多いですね。日本の場合はやっぱり携帯電話経由です。
──コールセンターを社内部門で持つ例とアウトソーシングする例はどちらが多いのですか?
キーリー氏 日本ではアウトソーシングがブームです。米国の場合はアウトソースは8%ぐらいです。
中曽根氏 日本の場合は12〜13%ですね。景気によって変動がありますが、米国の1.5倍から2倍ほどアウトソーシングが占めています。
キーリー氏 日本ではコールセンターのアウトソーシング会社が強いようです。例えば、弊社の最初のお客様でもあるNTTソルコ様は、ここ3年間で20〜30%近い成長率を示しています。市場全体が急激に伸びているという証拠でしょう。日本市場はまだ若い段階で、あと2年間くらいは人口比で米国の半分くらいのマーケットでしょう。
中曽根氏 米国に比べて、日本のコールセンタービジネスは初期段階で、今後どんどん市場自体が大きくなることは間違いないと考えています。コールセンター数、1カ所のサイトでの平均席数ともに増えていくでしょう。そういうニーズがあるということですね。日本人が米国人ほどではなくても、以前よりももっとコールセンターを利用するようになっていくと考えています。
──御社のソリューションは、エージェントの評価や教育といった面が含まれていますね
中曽根氏 われわれの製品はツールですが、お客様にあった評価方法を作るという作業が必要になります。通常、われわれの製品は単純にライセンスの売り切りだけではなく、最初の段階で評価フォームをどうやって最適に作るのかといったコンサルティングやトレーニング・パッケージを設けています。
──金額的にはいくらぐらいですか?
キーリー氏 最初の50席のインテグレーションだと、ほとんどが1000万〜1500万円です。これは日本だと、中規模のコールセンターですね。
──バージョンアップ体制は?
キーリー氏 開発は米国で行っていますが、開発要求はほとんど顧客ユーザーのニーズに基づいています。日本のユーザーはまだ1社だけですので、ニーズの吸収はこれからですが、年末ぐらいまでには日本のユーザーの要望を受け取って、日本特有のニーズをサポートしたいですね。
中曽根氏 われわれのパッケージを購入すると、この中にユーザー会的な参加権利のようなものが入っていまして、自社のリクエストを米国ウィットネスシステムズにあげることができます。すべてがフィードバックされるわけではありませんが、優れた要望に関しては、その部分を改良したものをお客様にオプションで提供するシステムがあります。
──少し前にWebセルフサービスというソリューションが騒がれました
中曽根氏 Webやメールを使うことによって、ある程度コンタクトセンターのオートメーション化は可能ですが、やはりコールセンターから人がいなくなることはありえないと思います。今後、Webを使った自動化や音声認識などが増えるとは思いますが、コールセンターの人間の絶対数はそんなに減らないと思います。
コスト的には人間を使うことが一番高いのですが、米国でもエンドユーザーがWebセルフサービスをやってもうまくいかないといって、コールセンターに電話するといった現象が起きています。テクニカルな面でだけではなくて、やはり絶対的なところでナマの人間とのやりとりしたいという顧客のニーズは、絶対に残ると考えているのです。
──日本市場への意気込みをお聞かせください
中曽根氏 日本への進出に関しては、米国本社では長期間かけて投資をしております。それだけ日本に対する期待感が高いわけです。日本はコールセンター市場世界第2のマーケットですから、ウィットネスにとっても、第2位の市場とするべく、努力していきたいと考えています。
キーリー氏 がんばります。
(編集局 鈴木崇)
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