日本オラクルの第2章は、傷ついたブランドの再構築から

2002/6/6

 日本オラクルは今週より、新しい会計年度に入った。RDBMS市場の立ち上がりとともに成長し、ベンダ横並びの状態からトップに踊り出た同社。この市場ではトップの座に君臨し、さらにはERPやCRMといったeビジネス・アプリケーション関連事業にも積極的に打って出ている。

 同社の成功は日本では特別な意味を持つ。外資系でありながら東証一部に上場し、日本のビジネス文化に適したサクセスストーリーは業界外でも有名だ。

 だがここ1〜2年、その勢いに陰りが出てきていた。それを裏付けるかのように、各調査会社から出された最新レポートによると、IBMやマイクロソフトにRDBMS市場のシェアをじわじわと奪われつつある。

 そのオラクルがやっと腰を上げ、失地奪回に向けて体制を整え始めた。ただ、同社が奪回を図ろうとするのは、単なる“シェア”というよりもむしろ、ブランドなどの輝かしい“イメージ”のようだ。

 新たなブランディングおよびマーケティング戦略の総指揮を取るのは、この3月よりオペレーション担当 シニアバイスプレジデントのポストに就任した山元賢治氏。3カ月の準備期間を設け、自己(社)診断、他社からのヒアリングを行った結果、日本オラクルの現状を分析した。そのうちのいくつかは以下のようなものだ。

<他社からの診断>
・ITリーディング企業として、かつてほどのイメージはない
・RDBMSのオラクルという固定観念の払しょくができていない
・オラクル社員は近づきにくい印象がある
・DBにおけるオラクルブランドは、IBMよりも“レガシー”

<オラクルの自己診断>
・顧客/パートナーとの間に信頼関係がある
・収益性のあるビジネスモデル、健全なキャッシュフロー
・“日本オラクル第1章”で成し遂げたブランド
・ORACLE MASTER、OTNの成功
・上場による日本のプロパティとしての社会的信用

 山元氏はこれらを並べ、「オラクルと顧客との間に心理的な距離が広がっている」と総括する。また、マーケティング面でも、多額のマーケティング費用を割いてもマスコミに良いことが書かれないなど、「真のオラクルバリューが伝わっていなかった」、あるいは、マーケティングのファンクションが社内に点在し、連携ができていないなどが反省点として出てきたという。

 セールス面でも反省点が挙がった。ERPを前提としたCRMなどのビジネスアプリケーションを売り込む前に、果たして何パーセントの顧客がERPを導入しているか、Javaを利用しているかなど、「現状認識が不十分だった」という。

 これらを基に、山元氏は同氏の言う“日本オラクル第2章”の構想を練り上げた。それによると、「営業では、最小のセールスサイクルで最大の収益を上げる、マーケティングでは、1700名の全社員が統一したメッセージを持つ」。世界レベルで考え日本のビジネスモデルで行動するという“Think Globally, Behave Locally”の実践、などが具体的項目として上がっている。そして、これらを実行するにあたり、さらなる予算をマーケティングに当て、フォーカスの明確なキャンペーンやイベント、セミナーを実施していく。

 また、有名な“赤の部屋”“青の部屋”に次ぎ、新たな部屋も登場しそうだ。経営レベル(Cレベル)にリーチするためのブリーフィングセンターとして機能させていくという、(仮称?)“茶色の部屋”。「ここで、新宅社長(新宅正明 代表取締役社長)に成功の秘訣を聞くなどの機会を提供できるかも」という。

 「企業がある程度の年月が経つと“踊り場”に差し掛かるのは当たり前。12歳の日本オラクルも例外ではない。ただ、この“踊り場”をいかに短くするかで企業の真の実力が試される」と山元氏。「もう一度、“いっしょに売ってもらおう”という(初期の)時代を思い出し、企業理念を明確に持つことが大切」という。その企業理念とは、社会・株主への貢献、パートナーとのWin-Win関係の構築、技術の追求による優位性の確立などのほか、変化を楽しめる会社/人間に、という項目も含まれている。

 日本オラクル バージョン2.0に向けて動き出す同社、どのような変化を見せてくれるのかが楽しみである。

(編集局 末岡洋子)

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