ウインドリバー、組み込み機器向けのIPv6スタックを発表
2002/7/20
組み込み機器向けOSやミドルウェアなどの提供を行っているウインドリバーは7月17日、組み込み機器にIPv6を実装するためのソフトウェア「WindNet IPv6」と「WindNet IPv6 Router Stack」の2製品を発表した。米ウインドリバーは20年前に設立され、現在では、組み込み機器向けOSやミドルウェアの分野における業界のリーディング・カンパニーだ。これまでにも、組み込み機器にIPv4スタックを実装するための製品(「WindNet TCP/IPスタック」)をリリースしており、今回発表された製品はそのIPv6版にあたる。
ここ数年、IPv6に対する取り組みが盛んになってきている。IPv4の次世代を担うネットワーク・プロトコルとして注目を集めつつも、なかなかその広がりを見せなかったIPv6だが、欧米諸国に比べIPアドレス枯渇の危険性が高いアジア諸国を中心に、その危機感から政府レベルでの取り組みが行われている。PCが中心だったIPv4の時代に対して、広大なアドレス空間を持つIPv6では、携帯電話や情報家電、制御機器などといったPC以外への機器への応用も検討されており、新たなビジネス・チャンスとしても期待されている。今回発表された「WindNet IPv6」と「WindNet IPv6 Router Stack」の2製品は、これら組み込み機器に対してIPv6プロトコル・スタックを実装するためのものである。
WindNet IPv6は、インターネット・プライアンスや第3世代携帯電話など、エンド・ポイントの機器への適用を想定した製品だ。IPv4/IPv6のデュアル・スタックに対応し、IPv6の基本機能を備えるのはもちろんのこと、RIPngやSNMP MIBsなどの付加機能のサポートも行う。また、「今後もIPv4とIPv6が共存していく以上、トランジション(Transition)のメカニズムはとても重要なこと」(米ウインドリバー マーケティング担当ディレクターのGlenn Flinchbough氏)というように、パケット・トンネリングや自動コンフィグレーションなど、IPv6への移行期に必要になってくる各種機能も標準で組み込んでいる。
WindNet IPv6 Router Stackは、前者とは異なり、ルータやスイッチなどのネットワーク・インフラにかかわる機器への適用を想定している。WindNet IPv6に、OSPFv6やBGPなどルーティングの機構が追加されたバージョンとなる。ハードウェア・ベースのアクセラレーションAPIのサポートや、VPN用途を想定した高い可用性の実現など、バック・エンド機器に要求されるパフォーマンスや可用性の向上が図られている。
同製品の特徴は、「統合開発環境の提供」「組み込み向けシステムへの最適化」、それに「サポート体制」の大きく3点に集約される。同社が提供するリアルタイムOS「VxWorks」と統合開発環境「Tornade」との組み合わせで、組み込み向けアプリケーションの迅速な開発体制が構築できる。また、従来のPC向けのプロトコル・スタックに比べて、タイマ管理やメモリ管理などをより効率的に行うなどの工夫で、リソースの限られた組み込み向けシステムへの最適化が実現できている。サポート面においては、これまで組み込み向けシステムで培ってきた経験を生かして、世界規模での充実したテクニカル・サポートを提供していくという。
WindNet IPv6の出荷は2002年9月を予定しており、WindNet IPv6 Router Stackについては2003年1月での出荷を目指している。
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ウインドリバーの発表資料
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