電子調達の本格普及に向け、次の手を模索するアリバ

2002/8/30

 日本アリバは8月29日、BtoBの電子購買ポータルソリューション「Ariba Buyer」をカシオ計算機が導入すると発表した。カシオはAriba Buyer導入で購買経費を減らし、2004年までに5億円の間接材調達コストを削減する考え。アリバ製品は世界で400社以上が導入。日本でもソニーやアサヒビール、セブン-イレブン・ジャパンが導入するなど電子購買が広がってきた。しかし、先行する米国との差は大きく、日本への浸透はまだまだと、日本アリバは考えているようだ。

米アリバのエグゼクティブ ヴァイス プレジデントでチーフ マーケティング オフィサー マイケル シュミット氏は、「企業の支出をいかに管理するかが求められている」と述べ、電子購買の必要性を強調した

 日本アリバは同日、事業説明会を開催した。米アリバのエグゼクティブ ヴァイス プレジデントでチーフ マーケティング オフィサーのマイケル シュミット(Michael Schmitt)氏は、「日本の電子購買の状況は3年前の米国と同じ」と指摘したうえで、「米国の教訓を日本に投入して企業の生産性を向上させる。間違いなく日本も米国の電子購買と同じ方向に向かう」と述べた。

 米アリバの主要顧客企業123社が昨年、アリバを通じて行った取引の支出総額は560億ドル。そのうち46%はコンサルタントや清掃業務などサービスへの支出だったという。また、当初電子購買で多く取引されていたオフィスの事務用品や製造の原材料などへの支出は、総額の20%弱で、いまや全体の5分の1程度。サービスを電子購買で提供するサプライヤの参加が増えるにつれて、サービス支出が増えてきたという。なお、主要顧客企業123社のうち100社が米企業で、22社が欧州、日本はソニー1社のみだった。

 シュミット氏によると、アリバは世界で2万5000以上のサプライヤを抱えているという。そのうち63%は北米、26%は欧州。アジアパシフィック地域は11%で、そのほとんどは日本企業だが、欧米と比較するとサプライヤは少ないという。

 ところで日本では、アリバを利用した取引のうち、サービス分野への支出は増えているのだろうか? 日本アリバの代表取締役社長 宮下繚氏によると、日本企業の取引では、サービス分野は少なく、相変わらず原材料調達や機器の保守、修理などの分野に限られ、取引規模も小さいという。しかし、人材派遣、リースなどサービス分野での利用も徐々に広がっているという。宮下氏は、「サプライヤへの参加を呼びかけている」と述べるなど、米国での成功を日本にも根付かせ、BtoBの普及を後押ししたい考えだ。

 米アリバが力を入れている分野の1つが政府関連だ。特に米州政府への導入を重視し、すでに10の州政府がアリバ製品で電子購買を利用しているという。宮下氏も、「日本でも、地方自治体が導入すれば調達などで大きな効力が出る。売り込みはしているが規制が多く難しい」(宮下氏)といい、日本の商習慣や政府の規制が電子購買の導入を阻んでいるとの考えを示した。

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