[ARIBA LIVE 2001 Tokyo開幕]
BtoBの購買革命を呼びかけるアリバ

2001/10/12

基調講演会場とは別会場で、ゴア氏のスピーチの模様を映すスクリーンを見つけた(写真上)。だがここでも報道関係は入場を拒否され、程なく退場を強いられた(ちなみに、拒否の理由は“米国テロ行為およびその後の情勢の影響”とされている)。入場していた人によれば、ゴア氏は「元大統領候補のゴアです」などのジョークを飛ばして登場、テクノロジのスピードと人間(文化)適応スピードとのギャップなどについて語ったそうだ(下の写真は日本アリバ提供)

 BtoBの購買アプリケーションベンダである日本アリバは10月11日、プライベートカンファレンス「ARIBA LIVE 2001 Tokyo」を開催した。会期は2日間で、初日は米アリバ会長兼CEO キース・クラック(Keith Krach)氏がオープニングのスピーチを行った。

 この日集まった約2500名の参加者の最大の関心は、アル・ゴア(Al Gore)前米副大統領のスピーチだったかもしれない。基調講演を行うことになっていたゴア氏は、先月11日に発生した米多発テロ事件以来、来日が懸念されていたからだ。ゴア氏は予定通り来日しスピーチを行ったが、会場は厳しいセキュリティチェック体制が敷かれ、報道関係者は同氏のスピーチ中退場を強いられるなど、重々しい雰囲気に包まれた。

 米国経済は2001年に入り悪化し、IT関連企業も株価の下落や設備投資の抑制などにより打撃を受けた。有望視されてきたBtoB市場も例外ではなく、米アリバも苦戦を強いられている。ラリー・ミュラー(Larry Mueller)氏がCEOの座を1四半期で退き、クラック氏が舞い戻るなど、経営陣のドタバタ劇も繰り広げられていた(「第2四半期に再びつまずくBtoBベンダ」参照)。

  オープニングのあいさつを行ったクラック氏は、“スペンド・マネジメント”を提唱、厳しい経済状況下では、売り上げを伸ばすよりも支出を抑えるほうが得策とのビジョンを示し、同社の調達ソリューションがそれを実現するとした。

 「“スペンド・マネジメント”は、プラニング、分析・評価の“find money”、ソーシングの“get money”、購買実績データ蓄積の“keep money”の3つのサイクルを回すこと」とクラック氏はいう。これにより、コスト削減が実現できるだけではなく、生産力アップや効率化につながり、さらにはチャネル拡大も期待できるとした。「ERP、SCM、CRMもコスト削減に寄与する重要なアプリケーションだが、アリバのソリューションは短期で実装でき、結果も早く出る」(クラック氏)。

クラック氏「各企業が競争力をつけることがグローバルエコノミーの回復につながる」

 同氏は、ハイテク業界では80%の企業がアリバのユーザーであるなどの実績を強調する。日本では、松下電工が「Ariba Buyer」を導入し、2500万ドルのコスト削減を図ることを発表している(「松下電工のe調達インフラにアリバを採用」参考)。

 基調講演に引き続き行われたパネルディスカッションでは、慶應義塾大学教授/日経BP編集委員 中島洋氏、アスクル カスタマ・リレーション プロキュアメント・ソリューション ヴァイスプレジデント 小河原茂氏、ソフトバンク・イーシーホールディングス 代表取締役社長 宮内謙氏、日本アリバ 代表取締役社長 渡辺邦昭氏が登場し、日本のBtoBについて論議を行った。

 日本アリバの渡辺社長はeプロキュアメントに対し、「日米で(eプロキュアメントの)導入の差はない。だが、日本はコーポレート・ガバナンスが実現できていないという課題があり、インプリメンテーションの速度には差が出てきている。日本で普及しない最大の原因はトップのリーダーシップとマネジメントの欠如ではないか」との見解を示した。すでにeプロキュアメントを導入しているアスクルの小河原氏は、「透明性が最大の利点。だが、課題はバイヤーにより商習慣が異なること。この部分の標準化の策定なしにはバイヤー、サプライヤー双方にメリットのある仕組みにはならないのではないか」とユーザーの立場からの意見を述べた。

(編集局 末岡洋子)

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