広域ストレージネットワークの検証ラボが開設

2002/9/13

 NTTコミュニケーションズとブロケード コミュニケーションズ システムズは、遠隔地にあるSAN(Storage Area Network)を別のSANとギガビットクラスのネットワークで相互に接続する広域ストレージネットワークの検証設備「ストレージ・マネジメント・ラボ」を、NTTコムの東京・竹橋のオフィスに開設したと発表した。広域ストレージネットワークに取り組むベンダなどに利用を呼びかけて、異機種混在環境で広域ストレージネットワークが正しく動作するかどうかを検証する。

 広域ストレージネットワークでは他社が管理するSANと接続するケースが多いため、異機種混在環境でも問題なく動作することが重要となる。ラボに参加するブロケードや兼松エレクトロニクスなど11社のベンダは、開発したネットワーク機器やストレージ機器をラボに持ち込んで、異機種混在環境で動作するかをチェック。検証内容は製品開発に生かす。

 通信回線はNTTコムの「ブロードバンドアクセス」(1Gbps)を使用。ラボ内に2つのSANを構築し、ブロードバンドアクセスで相互接続する。ブロードバンドアクセスはラボ内で直接接続するのではなくて、NTTコムの大手町iDCを経由させる。2つのSANは仮想的に約10km離れることになる。

 会見では1つのSANに保存してあるストリーミングデータをパソコンで再生し、途中で通信を人為的に切断するデモを行った。10秒程度のセッション時間を経て、もう1つのSANに自動で接続し、ストリーミングが再開。データがミラーリングされていることを実証した。

ブロケード コミュニケーションズ システムズの代表取締役 松島努氏は「NTTコミュニケーションズとの協業でさまざまなソリューションを提供できるようになる」とコメント

 ブロケードの代表取締役 松島努氏は、「広域ストレージネットワークが注目されるようになったきっかけは昨年の米国同時テロ」と説明。NTTコムのEプラットフォームサービス部 サービス開発部門 部門長 高尾司氏は「複数のベンダのストレージを接続するのは相当にチャレンジングなプロジェクトだ。広域ストレージネットワークの信頼性を高めるために11社にこだわらず、別の会社の参加も歓迎する」と、オープンを前提にラボを運営することを強調した。

 ブロケードは昨年10月、今回のラボに参加する企業も含め、SANの導入促進を目的とする共同検証プロジェクト「B-cube」を組織した。B-cubeに通信回線を提供したのは電力系通信会社のパワードコム。そして今回のラボにはNTTコムが通信回線を提供する。NTTコムの高尾氏は、「ラボに参加する企業でのグループ化などは考えていない」と話すが、広域ストレージネットワークをめぐって、通信会社の綱引きもありそうだ。

[関連リンク]
NTTコミュニケーションズの発表資料
ブロケード コミュニケーションズ システムズの発表資料

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