低迷続く国内サーバ市場の回復はいつ?
2002/9/25
IDC Japanは2003年の国内サーバ市場について、「2002年の低迷から強く回復することはない」との予測を発表した。これまで成長を続けてきたIAサーバ市場の成長が低下傾向に入ったことが主な要因。企業のIT投資が増えない中で、電子政府関連など市場拡大を期待させる要素もあるが、「本格的な回復は2004年にずれ込む」と予測している。
IDC Japanのサーバー リサーチマネジャー塚本卓郎氏 |
2003年国内サーバ市場の予測は、9月24日に開催された「CIO特別フォーラム」でIDC Japanのサーバー リサーチマネジャー 塚本卓郎氏が明らかにした。
IDCによると2002年第2四半期の国内サーバ市場は、出荷金額ベースで前年同期比19.9%の大きな減少になった。特に減少が目立つのはIAサーバで、第2四半期は出荷金額ベースで23.5%、出荷台数で18.1%の減少となった。IDCの塚本氏はIAサーバ市場について、「2000年前半からの成長傾向にかげりが出てきた。ラックマウント型やクラスタ構成での利用が盛んになってきており、今後に期待したい」と述べた。
市場の拡大が期待される64bit版のIAサーバについては、「ソリューションの品ぞろえやパフォーマンス向上、信頼性の確立、Windowsの64bit対応状況など不透明な要素が多い」と述べて、「大きな市場拡大の可能性はあるが、動きがわかりにくい」と予測が困難との認識を示した。とはいえ、2002年の急成長はなく、2003年もWindowsの64bit対応状況に左右されるという。
塚本氏によると、厳しい市場環境の中でも成長が期待されるのは、電子政府関連とコンテンツ配信サービス、ブロードバンド関連、バイオテクノロジ関連など。電子政府については「民間の投資に影響が出るのは2003年以降。政府だけでなく取引する民間企業が投資を増やすので、さまざまな波及効果が期待できる」と述べた。コンテンツ配信サービスでは、「NTTドコモが次世代iモードのシステムを構築中で、需要が期待できる」と説明し、「関連してストリーミングサーバやキャッシュサーバ、セキュリティ関連サーバも伸びる」と予測した。
サーバ市場停滞の象徴は、メインフレーム市場に対するUNIXサーバ市場の伸びが止まったこと。これまでメインフレームからUNIXサーバへの切り替えが進んできたが、製品出荷単価が1000万円以上のエンタープライズ向けサーバ市場を見ると、2001年上半期から2002年上半期までメインフレームとUNIXサーバの市場シェアはほとんど変化がない。2002年上半期の市場シェアは、メインフレームが61.6%で、UNIXは38.4%。2001年上半期のメインフレーム市場シェアは61.9%だったので、UNIXサーバはほとんどシェアを伸ばしていないことになる。
塚本氏はメインフレームからUNIXへの切り替えが止まった理由として、「不況のため、企業が基幹業務を全面的に切り替えることをためらっている。メインフレームを収益源としている国内ベンダが顧客企業を囲っていて、さらに顧客企業もベンダに頼りきっている面がある」という。
サーバ市場の停滞は、不況で企業が新システムへの切り替えができないという要因が大きい。しかし、設備投資を長期に抑制すると企業は新しいサービスを提供できないなど弊害も多い。企業の投資判断が問われているといえるだろう。
(垣内郁栄)
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