[JavaOne Conference in Japan開催]
「WebサービスにはJavaが最適」 とサンが強調

2002/9/26

米サン・マイクロシステムズ Java and XML Platform担当のVice President and General Manager リチャード・グリーン氏

 Java開発者向けのカンファレンス「JavaOne Conference in Japan」(主催:サン・マイクロシステムズ)が、9月25〜27日の3日間、パシフィコ横浜で開催中だ。カンファレンス初日のオープニングで基調講演を行ったのは、米サン Java and XML Platform担当のVice President and General Manager リチャード・グリーン(Richard Green)氏。同氏は「Webサービスの構築にはJavaを利用するのが最適だ」と述べるなど、Javaのプラットフォーム上でWebサービスを構築する優位性について何度も言及した。

 グリーン氏はWebサービスについて「JavaはすでにWebサービスに対応している」と発言。サンの開発用アーキテクチャ「J2EE」が、「Webサービスの構築に最も望ましい」と述べた。開発ツールのダウンロード回数も100万回を超えたことを明らかにして、ユーザーの支持を得ているとの認識を示した。

 グリーン氏は基調講演後の会見でも、「WebサービスにおけるJavaの位置付けは、ほかの製品やプラットフォームに比べて際立っている」と述べ、Javaの優位性をアピール。一方で、「JavaでWebサービスのプロトコルを定義するだけではダメ。本当に役立つWebサービスとしてシステムを統合するには、Javaはまだ多数の課題を克服する必要がある」と述べ、まだ発展途上にあることも認めた。

サンのVice President and Sun Fellow ジェームス・ゴスリン氏

 会見でサンのVice President and Sun Fellow ジェームス・ゴスリン(James Gosling)氏はWebサービス全体の課題として、「Webサービスとは単にサーバを使うだけでなく、既存のWebサイトを取り込んで、APIを提供すること。GoogleやAmazonはすでに行っているが、一部のHTMLを使った既存サイトは、Amazonで調べた書籍のISBNコードを勝手に使い、ユーザーにショッピングさせるなど、ユーザーの横取りの問題が起きている」と指摘して、「Webサービスの開発者は、このような問題に気づいていなかった」と述べた。同氏は「Webサービスのテクノロジはうまく行っているが、ビジネスプランに問題がある」と説明した。

 基調講演でグリーン氏がWebサービスのほかに力を込めて語ったトピックスは、サンが中心になって設立したWebのシングルサインオンを実現する企業連合「リバティアライアンス」についてだ。グリーン氏は「複数のサイトを使っているユーザーが自分のID情報を管理できなくなる“アイデンティティ・クライシス”が迫っている」と警告し、「ネットワークアイデンティティの管理が重要だ」と述べた。

 グリーン氏は、Javaプラットフォーム上でシングルサインオンを利用するデモを行った。ソニーのWebサイトにログオンした後で、別サイトのコンサートチケットを購入したり、航空券を予約して、シングルサインオンの利便性をアピール。グリーン氏は「ユーザーが自分で制御できる情報を、Webサービスを提供するアカウント同士で共有できるようになる」と、その特徴を説明した。

 基調講演後の会見では、マイクロソフトが提供するシングルサインオンのシステム「.Net Passport」に対するリバティアライアンスの優位性を指摘する発言が相次いだ。グリーン氏は「リバティはユーザー情報をそれぞれのWebサービスのサイトがローカルに保存し、ユーザーは自分の情報を自分でコントロールできる。だが、.Net Passportはマイクロソフトが管理している」と説明。ゴスリン氏も「リバティは情報を1社で独占しない。.Net Passportはマイクロソフトが情報を独占し、ユーザーはどこに情報を公開するかを選ぶことができない」と指摘した。Chief Researcher and Director, Science Office ジョン・ゲージ(John Gage)氏は「セキュリティが万全なら1社がユーザーの情報を独占しても問題ない。しかし、マイクロソフトはこれまで、セキュリティ上の問題を多数抱えてきた」と強調する。

 グリーン氏は「開発者、アプリケーション、ユーザーというJavaの“エコシステム”がJavaコミュニティにとって最も重要だ」と何度も繰り返し述べていた。ここからは、新しく登場したWebサービスなどの新技術を、Javaのプラットフォームに取り込んで、ユーザーに良いサービスを提供しようという開発者に対する強いメッセージが感じられた。

(垣内郁栄)

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