「黒子に徹する」とIBM、システム検証センターでSI支援
2002/11/21
eServerコンピテンシー・センターの内部。IBM製など232台のサーバを使ってソリューションの検証ができる |
日本IBMはシステム・インテグレータ(SI)などがIBMのサーバを使い、他社の製品と組み合わせたソリューションを開発しやすいようサーバやインフラ設備を提供する検証施設「eServerコンピテンシー・センター」を、東京・晴海に開設したと発表した。ストレージなど他社製品を用意して、ソリューション開発を促進。これまでの直販営業からパートナーとの協業を重視する戦略に転換する。
センターは総床面積1800平方メートルで、サーバを232台、ストレージを31台、ネットワーク機器を27台、ミドルウェアを120種用意する。センターはIBMのほかにEMCジャパンやターボリナックス、日本オラクルなどハード/ソフトのベンダ25社が共同運営スポンサーとして製品を提供する。センターを利用してソリューション開発を行うSIは46社を予定。各SIは利用に応じて年会費を支払う仕組みになっている。
センターでは、IBMのサーバを基盤に異機種混在環境でソリューションの開発、検証ができたり、サン・マイクロシステムズや日本ヒューレット・パッカードなど、IBM以外のUNIXで動作するアプリケーションをIBMのAIX環境へ移行する作業を行うことができる。IBMの最新サーバを使い他社製プラットフォームからのシステムの移植や稼働の検証も可能。IBMのグリッドコンピューティング構築ツール「Globus Tool Kit」とSIが開発したソフト、それにIBMサーバと組み合わせた際の検証システムなども用意している。
IBMは東京・青山に開設していたWindowsシステムの検証施設や、本社内にあった「Linuxサポートセンター」も、eServerコンピテンシー・センター内に移転し、SIがソリューションの検証やサポートなどができるようにした。
センター内にはセミナールームや商談ルームがあり、SIは実際のシステムを顧客に見せながら、商談することができる。IBMはさらに、自社のソフトウェアが他社製システムで稼働するか検証できるSI向けの施設を12月にも東京・渋谷に開設する予定。
日本IBMの取締役 BP&システム・PC製品事業担当 橋本孝之氏 |
日本IBMの取締役 BP&システム・PC製品事業担当 橋本孝之氏は、「IBMはこれまで直販主体でビジネスをしてきた」と説明、「しかし、法人顧客に最終的なソリューションを提供するSIに、IBM製品を部品として提供することも必要と考えた」とセンターを開設した理由を説明した。橋本氏は「IBMは黒子に徹して、インフラ設備をパートナーのSIに使ってもらう。いかにパートナーに利用してもらうかがセンターの成否を握る」と述べた。センターを利用するパートナーを今後も募る方針で、2004年3月までに200社のパートナーを集めたい考え。
IBMは4月にパートナー企業との協業によるソリューション開発を支援するアライアンス事業部を新たに設立するなど直販営業からの転換を図っている。
(垣内郁栄)
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日本IBMの発表資料
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