NECがシステムインテグレータに変貌した日
2002/10/23
NEC取締役常務 NECソリューションズカンパニー副社長 川村敏郎氏 |
その日、NEC取締役常務 NECソリューションズカンパニー副社長 川村敏郎氏の口調は思いのほか熱が入っていた。「1兆4000億円と言われるインテグレーションビジネスの中で、オープン環境でのミッション・クリティカル・システム構築の需要は実に50%を占める」。NEC(NECソリューションズ)は10月22日、まさにこの市場に狙いを定めた戦略と戦術を発表した。
同社が行った記者会見は、オープン環境のミッション・クリティカル・システム構築サービスを本格的に推進する、というもの。ミドルウェア、サーバ、ストレージ・ネットワークなど、同社の企業向け製品群を「VALUMO(バルモ)」なるプラットフォームコンセプトに基づいて、柔軟にインテグレートしながら提供していく。自社製品を中核に置きながらも、SAP、BEA、オラクル、ベリタス、HP、シスコ、EMCといったベンダと密に協力関係を結び、いわゆる「Best
of Breed」なシステム構築サービスを展開する。
システム構築のプラットフォームは当然、オープン環境が前提になり、顧客の要望に応じて自社製品以外の製品も適宜対応していく態勢をとる。今回の発表は、同社のメインフレームベンダからの事実上の脱却宣言といえると同時に、単なる“ハード屋”からシステムインテグレータへの脱皮とも受け取れる。
川村氏によると、今回発表したインテグレーションサービスに費やした開発投資額はおよそ1400億円。そのうち、ミドルウェア開発が40%、パーツなどの組み合わせ方法論の開発に10%、マルチベンダ環境のインテグレーションパターンの構築法開発に30%などで、“箱もの”よりもインテグレーション技術への投資額の比重が著しく大きい。川村氏はインテグレーションのR&Dに重点を置くことは今後の市場競争に打ち勝っていく必要条件」と話す。なお、1400億円の投資額は「3年もあれば回収できる」(川村氏)と自信を見せた。
同社では、研究/開発を通じて編み出したさまざまなインテグレーションパターンによって、コンポーネントを組み合わせるようにシステム構築サービスを展開する。これらのパターンを統括するのがプラットフォームコンセプト「VALUMO(バルモ)」である。同コンセプトは、「分散」「自律」「仮想化」「協調」の4つのキーワードで構成されるシステム構築の考え方を指す。いずれも、エンタープライズ規模のシステム構築需要では必須の最先端技術を表している。
西垣体制のもと、抜本的な事業構造改革を遂行し、脱ハードベンダを目指すNECが示したITビジネスの1つの答えがここにある。ただし、同社の動きが早いのか遅いのか、あるいは中身が伴うのか否かは、今後明らかになることだろう。
(編集局 谷古宇浩司)
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