ITマネジメントとBPOがサービス市場を引っ張る
2002/12/17
ガートナー ジャパンのデータクエスト部門は2002年の国内ITサービス市場が前年比4.0%と過去最低の成長率になるとの予測を発表した。ITサービス市場が全体的に低調の中で、ITの運用管理をアウトソーシングするITマネジメント・サービスや、業務の一部を代行するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は好調で、今後の市場拡大が見込まれる。
ガートナーによると、2002年の国内ITサービス市場規模は8兆1914億円と推測。2006年までの年平均成長率は6.7%と予測していて、2006年には約10兆8897億円の市場になるとみている。低成長になった理由は、金融、製造、通信を中心に企業のITサービスへの投資が冷え込んだこと。企業によるIT投資効果への評価が厳しくなり、大規模プロジェクトや投資対効果が不明なプロジェクトは、見直しや凍結、先送りの対象になっているという。2003年上期までは厳しい状況が続くという。
ガートナー データクエストのITサービス市場担当アナリスト 山野井聡氏によると、ITサービスの中でもシステム開発・インテグレーションと、ハードウェアの保守・サポートなどの落ち込みが目立つという。山野井氏は「市場が成熟したことに加えて、製品価格の下落が響いている」と説明。ハードウェアの保守・サポートは、2002年は前年比0.7%のマイナス成長で、2006年までの年平均成長率も0.4%とほとんど成長しないという。
一方で、成長が見込まれるのはITマネジメント・サービスとBPO。ITをアウトソーシングするこれらのサービスは、社内コストの削減と人的資源の最適配置に役立つという考えが企業の経営層にあり、今後も成長が期待できるという。ガートナーでは「ITマネジメント・サービスとBPOは日本のITサービス市場のけん引役になると期待されている」としている。ITマネジメント・サービス市場は、2002年の前年比成長率が10.3%で、サービス市場セグメントの中で唯一、2ケタの成長となっている。2006年までの年平均成長率も12%で高成長になるとガートナーは予測。人事や経理、コールセンターなどをアウトソーシングするBPOも「2003年以降に加速する」と分析している。
山野井氏は「ベンダやシステム・インテグレータは、開発やインテグレーション、保守に加えてITマネジメント・サービスをメニューに追加することで顧客の囲い込みにつなげることができる」とアドバイス。「ITマネジメント・サービスにシフトした方が収益を確実にすることができるだろう」と分析し、「今後はシステムを実装した後のサービスに注力する企業が増える」と予測した。
(垣内郁栄)
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