PtoPの盲点を克服した「Ariel AirOne」新版が春に登場予定
2003/1/10
アリエル・ネットワーク 最高執行責任者小松宏行氏 |
アリエル・ネットワークが開発・販売するPtoPベースのコラボレーションツール「Ariel AirOne」Ver1.1が2003年3月下旬〜4月上旬に登場する予定だ。ユーザーインターフェイスの改善やプロキシ認証の克服など、いくつかの細かい点を見直したほか、PtoP独自の使用上の問題点を根本的に改良した。
PtoPの特性は、サーバを介さず、ノード間同士で直接通信が可能になる点だ。これにより、ノードがインターネットに接続している状態であれば、部門や企業などの垣根を超えて、コミュニケーションが可能であり、文書ファイルなどの交換も自由にできる。しかし、複数のノードで構成されるグループにおいて、例えばノードAが文書を作成した後、接続を切った場合、ノードBやノードCは、ノードAが作成した文書を閲覧することができなくなる。これがクライアント/サーバ型のネットワーク環境であれば、サーバに格納されたノードAの文書をノードBやノードCが閲覧可能になる。
Ariel AirOneの通信基盤「SOMAnet」は、ノードの集合体で定義されている。ノード同士が互いに複数のセッションを張り合って接続され、この接続されたセッション上にSOMAnetのプロトコルが流れる仕組みとなっている。つまり、Ariel AirOneにおいては、あるノードが特定のリソースを探す際は、別ノードにコマンドを投げ、もし見つからない場合は、隣接するノードに次々にコマンドを投げていく。その結果、リソースを見つけた場合は、所在情報がコマンドを発信した元のノードに帰る間に経由したすべてのノードに対してリソースインデックスとして登録され、次回からは自由にリソースの共有が図れる。ただし、一度もほかのノードからコマンドを受け取ることなく、接続を切られた場合はその限りではない。盲点だったのである。
解決策として、同社は常時接続している仮想のノード「コレクタ・ノード」を追加した。各ノードが作成したリソースは、コレクタ・ノードに自動的に格納され、あるノードがコマンドを受け取らないで接続を絶った場合でも、ほかのノードがリソースを共有できるようにしたわけだ。同社最高執行責任者小松宏行氏は「擬似的なクライアント/サーバのような仕組み」と解説する。
同社は今後、分散するノードを一括管理するサーバ製品を投入するなど新たな展開を計画している。PtoPは、コラボレーション、eラーニング、コンテンツ・デリバリ、ナレッジ・マネジメント分野の基盤技術として期待できるが、いまだキラーアプリケーションがないのが現状。小松氏は、「業務アプリベンダなどと協業しながら、アリエルが持つPtoPの基礎技術を幅広く普及させていきたい」と意気込む。
(編集局 谷古宇浩司)
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