.NETが実サービス段階、MSが情報提供サービスを今春開始
2003/1/24
マイクロソフトは企業が商品の紹介や株価などさまざまな情報を、エンドユーザーPCのデスクトップ画面に自動的にポップアップメッセージとして送信できる新サービス「.NET Alerts」を、国内で今春にも始めることを明らかにした。エンドユーザーは情報提供企業の中から自分がほしい企業のサービスだけを利用できる。マイクロソフトでは「メール配信広告と比較してクリック率が高い」としていて、国内数社とサービスの開始を準備している。
.NET Alertsは現在、Windows Messengerで新しいメッセージが届いたり、新しいユーザーがログオンすると、デスクトップにポップアップメッセージが表示されるサービスとして利用されている。マイクロソフトはその仕組みを一般企業でも情報提供できるようにする。
マイクロソフトは米国で2002年春から試験的に.NET Alertsのサービスを行っていて、国内でも2002年半ばからサービス開始を検討してきた。米国ではオークションサイトのebayやアンチウイルスのMcAfee.com、ナスダック市場などが.NET Alertsを利用して、情報を提供している。マイクロソフトのポータルサイト「MSN」のカレンダーやショッピング、マネーなどのサービスも.NET Alertsで情報を提供している。
ユーザーはサービスの中からどのような情報を受け取るのかを自分で設定できる。ナスダック市場の株価なら、設定しておいた銘柄に動きがあった際にPCにポップアップメッセージを表示させて、ユーザーに通知する。情報提供企業はマイクロソフトの「SQL Server 2000 Notification Services」を利用してメッセージを配信する。
企業はWindows Messengerのポップアップ以外に電子メールやWebサイトなどにメッセージを配信できる。マイクロソフトは携帯電話の電子メールにもメッセージを送信できるようにする予定。ユーザーがWindows MessengerにログオンしているときはPCのポップアップでメッセージを表示、ログオフ時には携帯電話の電子メールに送信するなど、ユーザーの設定で使い分けることができるのが特徴だ。
マイクロソフトのデベロッパーマーケティング本部 デベロッパー製品部 シニアプロダクトマネージャ 磯貝直之氏 |
マイクロソフトのデベロッパーマーケティング本部 デベロッパー製品部 シニアプロダクトマネージャ 磯貝直之氏は.NET Alertsについて、「米国の試験ではポップアップメッセージのクリック率は約40%で、電子メール配信と比較してユーザーの注意を引きやすい」と説明。「企業とユーザーとのコミュニケーションが密接になる」とメリットを述べた。
企業が.NET Alertsを利用して情報をユーザーに提供するには月額のサービス費用が必要。米国の場合、標準的な価格としてエンドユーザー1人当たりの単価は月額0.075ドル。1万ユーザーが.NET Alertsを利用する場合、月額750ドルがかかる計算。別に.NET Passportの契約料として年間1万ドルのサービス費用と、年間1500ドルのサイト確認費用がかかる。マイクロソフトによると、国内でサービスを提供する場合も同程度の価格帯になるという。
これまで技術先行で、テクノロジのテーマが多かった.NETプラットフォームだが、次第に実サービスとして具体的な形が見えてきた。.NETは新たな段階に入ったともいえ、マイクロソフトの舵取りはいよいよ難しくなりそうだ。
(垣内郁栄)
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