「ストレージの専用ハイウェイ」、EMCが新アーキテクチャ発表
2003/2/7
EMCは新アーキテクチャ「Direct Matrix Architecture」(DMX)を基に開発したストレージの新シリーズ「Symmetrix DMX」を発売すると発表した。DMXはマトリックス型相互接続と呼ばれる新構造を採用。従来の製品や他社製品と比較して、6倍以上の高速化を実現しているという。
DMXはストレージでサーバと接続するインターフェイスとなるフロントエンド・チャネル・ダイレクタと、キャッシュメモリ、ディスクと接続するバックエンド・ディスク・ダイレクタのそれぞれを直接接続するアーキテクチャ。従来の製品は接続する際に複数のバスやスイッチを使っていた。すべてのデータが共有バスや共有スイッチを通過する仕組みで、データが集中してビジー状態が発生したり、サービス・レベルに悪影響が起きることがあった。DMXはそれぞれのダイレクタを直接接続するシンプルな方法のため、キャッシュの共有などでパフォーマンスが低下することがない。EMCによるとDMXの最大総帯域幅は毎秒64GBになり、他社競合製品の6倍以上のパフォーマンスになるという。
「Symmetrix DMX」シリーズを紹介するEMCのテクノロジー・アナリシス担当ディレクター ケン・シュタインハート氏 |
EMCのテクノロジー・アナリシス担当ディレクター ケン・シュタインハート(Ken Steinhardt)氏はDMXについて、「バスを使ったアーキテクチャが高速道路、スイッチを使ったアーキテクチャがロータリーとすればDMXは2地点間を結ぶ専用ハイウェイ」と説明した。
DMXのもう1つの特徴はEMCの従来ソフト製品との互換性を持っていること。シュタインハート氏によると、従来のSymmetrix向けプラットフォームソフト、管理ソフトなどに対応していて、スタッフやシステム、トレーニングに対する新たな投資を抑制できるという。
EMCがDMXを基に発売するSymmetrix DMXシリーズは、未フォーマット時の最大容量が42TBの「DMX2000」と、21TBの「DMX1000」、17.5TBの「DMX800」。DMX800はラックマウント型のモジュラー式ハイエンドストレージ。iDCのような広いスペースや冷却装置、電源などを用意しなくても導入が可能で、必要に応じてストレージ・リソースを追加できる。Symmetrix DMXシリーズの最小構成価格は6000万円前後からとなっている。
EMCジャパンの代表取締役社長 スティーブン・D・フィッツ(Steven D. Fitz)氏は「新製品投入の重要な要素はタイミング。企業のIT投資は減少が続いていたが、調査会社によると2003年は回復傾向となる。絶好のタイミングでSymmetrix DMXシリーズを投入できる」と述べた。EMCは1999年からDMXを研究してきたという。EMCは互換性を重視することで、これまでのIT投資を保護できることを強調。IT投資を抑制する企業の財布を開かせようとしている。新アーキテクチャに企業がどう反応するか。フィッツ氏は「2003年は市場シェアを必ず大きく伸ばす」と宣言している。
(垣内郁栄)
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