「次の革命はNASとSANの集約」、EMCがAutoISで進める新戦略

2002/11/7

米EMCのテクノロジー・アナリシス担当ディレクター ケン・シュタインハート氏。「EMCのビジネスは“不言実行”。結果を見て判断してほしい」と述べた

 米EMCのテクノロジー・アナリシス担当ディレクター ケン・シュタインハート(Ken Steinhardt)氏はEMCのストレージ戦略について都内で会見し、「EMCはAutomated Networked Storage(自動化ネットワークストレージ)だけにフォーカスする」と述べ、同社が進めている新戦略「AutoIS」を推進する考えを強調した。マルチベンダの異機種混在環境では、ストレージネットワークを管理するためのソフトウェアが重要になる。ケン氏はこのような環境での管理ソフトについて「オープン規格を活用する」と述べ、ストレージの業界団体が標準化を進めているストレージ統合の新規格を積極的にサポートしていく考えを述べた。

 ケン氏はストレージ市場の動向について「DAS(サーバ直結型ストレージ)からSANやNASなどネットワークストレージへの移行は急激に進んでいる」と説明。ガートナー データクエストが8月に発表した調査結果を示しながら、「2006年にはストレージの7割がネットワーク型になる」と強調した。

 ストレージがネットワーク型へと移行する中でEMCが最も力を入れているのが新戦略のAutoIS。ケン氏はAutoISによって実現されるストレージ環境をAutomated Networked Storageと表現し、「ストレージでの次の革命はAutoISでNASとSANを集約することだ」と述べた。さらに、EMCがNASやSANの市場で大きなシェアを獲得していることを挙げて、「NASとSANの集約は他社にはできない。EMCはAutoISでNAS、SANの両方の強みを生かすことができる」と戦略を語った。

 ケン氏はAutoISの特徴を、シンプル、オートメート、オープンの3つのキーワードに集約できると説明した。特にオートメートについては「インテリジェントなオープンソフトウェアを指す」と述べた。そのうえでEMCが10月に発表したAutoIS対応のストレージ管理ソフト「EMC ControlCenter Open Editionファミリ」の特徴を紹介。他社ストレージのAPIを組み込むことでマルチベンダ、異機種混在環境でのストレージ管理ができることを説明した。

 EMCがオープン環境でストレージ管理ソフトを開発する際の考え方についてもケン氏は説明した。EMCは他社のストレージとEMCのストレージを統合して管理する際に、まずストレージのオープン規格が利用できないかを探るという。オープン規格が利用できない際は、他社からAPIの提供を受けて、統合する。APIの提供も受けることができない場合は、他社製品のインターフェイスをEMCのシステムに取り込めないかを探るという。10月に発表したばかりのControlCenterファミリでは、ヒューレット・パッカードとAPIの交換をして、HPのストレージをEMCの管理ソフトでコントロールできるようにした。

 EMCはストレージの業界団体SNIA(Storage Networking Industry Association)が標準化を進めているストレージ統合の新規格「Bluefin」や「CIM」についても「積極的に関与していく方針」(ケン氏)で、AutoISもBluefinやCIMと互換性を持つように開発しているという。EMCは、他社ストレージの統合で、オープン規格だけではサポートしきれない機能を、前述したようにAPIの交換などで対応させるのが基本戦略。ケン氏は「オープン規格を使うことでネットワークストレージを最大限に生かすことができる」と述べ、「AutoISは大きな成長が見込める」と強調した。

(垣内郁栄)

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EMCジャパン

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