オラクルと日立、世界規模で3分野の協力推進

2003/2/14

 大規模かつ高性能、高可用性のあるデータベースを構築するうえで必要不可欠なシステムの1つはストレージだろう。今回、日立製作所と日立データシステムズ(HDS)、米オラクル、それに日本オラクルの4社による世界規模でのストレージ・ソリューション分野の関係強化の発表は、それを如実に表しているようだ。

日立製作所 情報・通信グループ COO 木村伊九夫氏

 今回の協力強化について日立製作所 情報・通信グループ COO 木村伊九夫氏は、「これまでさまざまな協業を発表してきたが、今回重要なのは、両社のテクノロジ、サービス、マーケティングの3つすべてで一緒にやっていくことだ」と述べ、今回の協力は、一般的な協業や協力以上に有意義であることを強調した。

 4社の合意に基づき、ストレージ・ソリューションの(1)テクノロジ分野、(2)サポート・サービス分野、(3)セールス・マーケティング分野でこれまで以上に協力関係を強化するという(日本オラクルと日立製作所とは、以前から協力関係にある)。

 テクノロジ分野の協力では、強力強化の華としてストレージソフトウェア「DB Discovery for Oracle」を共同開発し、HDSより世界で提供していくことを発表した。このソフトウェアは、オラクル・ファイル・マッピング機能に組み込むことで、オラクルのデータファイルが日立製のストレージ装置内のどこに格納されているかなどの情報を、視覚的に提供し、データベースのチューニング、データレイアウトやバックアップの最適化などに活用できるようになる。これにより、データベースの管理を効率化できる。

 さらに、オラクル・データベースのバックアップ・インターフェイス「Recovery Manager」と日立のストレージ製品のボリューム・レプリケーション機能「ShadowImage」を統合し、ペタバイト級の大規模データベースのオンライン・バックアップ/リカバリを短時間かつ容易に可能とするソリューションの開発を検討するという。そのほか、Oracle9i RAC(Real Application Cluster)と日立のストレージ製品との互換性検証なども実施する。

 サポート・サービス分野では、共通の顧客に対して一貫したサポート・サービスを提供。両社のどちらのサポートに対応を求めても、グローバルレベルで両社のサポートチームが密接に連携してこれを解決していく。

 セールス・マーケティング分野では、今後両社ともに力を入れていきたい中国をはじめ、世界市場を対象に共同マーケティング活動を行っていく。

 ストレージ業界(特にSAN/NASの分野)では、APIの公開、互換性検証、オープン化が進んでいる。大規模なデータベースシステムを構築する場合は、こうしたハイエンドなストレージソリューションを欠かすことはできないが、そこではオープン化の波とは逆に、各ベンダとデータベースソフトとの個別のチューニングが必要となる。例えば、物理ボリューム間にデータベースのデータファイルが散在している場合、一般的なパフォーマンスチューニングでは限界がある。

 オラクルと日立はそのような認識を共有し、今後のペタバイト級のデータベース構築やサポート、マーケティングなどを共同で行うことで、市場の制覇を狙いたいという思惑がありそうだ。木村氏は「日立が先日発表した次期中期経営計画のストレージソリューションの目標売上高は、オラクルとの協力も前提にしている」とのリップサービスは、意外と日立側の本音かもしれない。一方の日本オラクル 代表取締役社長 新宅正明氏が「日立を(自社の陣営に)引き入れたことは大きい」(過去からの協力関係は続いているが)と述べ、オラクル側の期待の大きさもうかがえる。

 エンタープライズ分野でのデータベース制覇に欠かせないのは、どうやらストレージベンダとの協力関係にありそうだ。

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料
日立製作所の発表資料
日立データシステムズの発表資料
米オラクルの発表資料

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