ジュピターが語る「ケーブルインターネットの実力」

2003/2/18

 「J-COM Broadband」のサービス名でインターネット接続を提供しているケーブルテレビ大手のジュピターテレコムは、「ケーブルインターネットの実力」をテーマにセミナーを行い、ケーブルを使ったインターネット接続を、将来現行の下り8Mbpsから最大100Mbpsまで高速化する考えを示した。ケーブルインターネットにとって最大のライバルは急成長しているADSL。“元祖ブロードバンド”ともいえるケーブルインターネットは、高速化で巻き返しを図る。

 ジュピターが導入を検討し、研究を続けているのは米国で新たに開発されたケーブルモデムの新規格「DOCSIS」を使ったサービス。DOCSIS対応のモデムを使うことで、従来のケーブルインターネット接続を高速化できる。一部のケーブルテレビ事業者が最大20〜30Mbpsは可能だとして、すでにサービスを開始している。

ジュピターテレコムの企画部 地平茂一氏

 ほかに検討しているのはケーブルテレビの地域局から家庭までをすべて光ファイバにするサービス。従来のケーブルテレビは同軸ケーブルを家庭に引き込んでいた。ジュピターの企画部 地平茂一氏によると、すでにジュピターは光ファイバの実験で100Mbpsに近い通信速度を記録したという。

 ジュピターはケーブルインターネットの高速化実験は行っているが、その導入時期は未定。「どのタイミングでどのサービスを開始するかは発表できない」(地平氏)という状況だ。

 ジュピターがケーブルインターネットの高速化を急がないのは、既存のジュピターのケーブルインターネットサービスでもADSLに対して十分競争力を持っていると考えているからだ。

 地平氏が挙げたADSLに対するケーブルインターネットの優位性は、速度面と料金面、サポート面の3つ。速度では最大通信速度はADSLがケーブルを上回るが、「実行速度では決して劣らない」としている。ADSLが局舎から離れることで通信速度が低下するのに対して、ケーブルは低下しない。しかも「ケーブルはさらなる高速化の可能性がある」と説明している。

 料金面ではジュピターがインターネット接続のほか、テレビ放送や電話サービスを提供していることを挙げて、「サービスを組み合わせたパッケージ料金にメリットがある」と述べた。サポート面では、グループのケーブル事業者が加入者の居住地域に密着し、サポートを行っていることを強調した。

 ジュピターによると、2002年12月末のブロードバンド接続の利用世帯数は780万。そのうち70%以上はADSLが占め、ケーブルインターネットは25%に過ぎない。ジュピターは全体の6.5%だ。インターネット接続は加入者だけが増えても収益につながらなければ、事業としては失敗だ。ジュピターは高速化とともにWebのコンテンツサービスや、テレビ放送、電話サービスを重視して収益を強化。加入者獲得競争に走りがちなADSLに対する違いを明確にする。

(垣内郁栄)

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ジュピターテレコム

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