Notes/Dominoの生まれ変わりにみるIBMのソフト戦略
2003/2/19
日本IBM ロータス事業部長の神戸利文氏 |
日本IBMは2月18日、Notes/Dominoのメールやカレンダー機能をJavaコンポーネントとしてJ2EE化した製品「Next Gen Mail」(仮称)を2003年第2四半期に出荷すると発表した。
同製品は、IBMが提唱する「e-ビジネス・オンデマンド」をソフトウェアで実現する次世代コラボレーション製品群の1つ。コンポーネント化したNotesの機能は、WebSphereやDB2と組み合わせて活用する。Tivoli製品のセキュリティ機能(シングル・サインオン)も搭載しており、4ブランド(WebSphere、Lotus、Tivoli、DB2)の機能を融合した最初のソフトウェアとなる予定。また、開発ツールのJ2EE対応も同時に進めており、WebアプリケーションをDominoの開発環境で作成できる「Domino Toolkit for Websphere Studio」も、第2四半期に出荷する予定だ。これにより、従来のDomino環境で開発したアプリケーションやデータ資産をWebSphere StudioのJ2EE環境でも活用できるようになる。
今回発表した「Next Gen Mail」(仮称)は、これまで日本IBMがほとんど手をつけられなかった中小規模事業所をターゲットとする。市場の規模からすれば、最も広がりのある市場である。「(大規模な合併劇により)国内の都市銀行におけるNotes/Dominoのシェアは100%となった」(常務取締役ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏)と胸を張る同社だが、コラボレーション市場におけるロータスブランドの影響力は年々希薄化しつつあるのも事実である。Webアプリケーション対応製品を投入し、市場を一気に拡大、さらに「重いNotes」というマイナスイメージを一掃するためにも、「Next Gen Mail」(仮称)の投入と中小規模事業所の開拓は必要不可欠となる。
同社ロータス事業部長の神戸利文氏は、Notes/Domino製品がターゲットとする市場を大きく4つに分割し、市場ごとに製品の規模や機能を絞り込むことで、コラボレーション市場におけるNotes/Dominoの巻き返しを図る。
すなわち、2003年第1四半期に投入予定のNotes/Domino6.0.1+Sametimeというコラボレーション機能をフルに活用する製品群を従来から同社が得意としてきた大規模企業向けとし、Notes/Domino6.0.1+Sametimeの一部の機能を削減して、Web対応のiNotesを加えた製品群を中規模なオフィス向け、そしてiNotes+Sametimeの製品群で企業内のモバイルワーカーを対象とし、「Next
Gen Mail」(仮称)は従業員数が少なく、メールの需要のみがある市場を対象とすることにした。
Notes/Dominoにみられるようなソフトウェアのコンポーネント化による再利用の動きは、実はIBMが目指すソフトウェア戦略の核である。WebSphere、Lotus、Tivoli、DB2といった4ブランドの製品は「ようやく共有資産としてのコンポーネント化が終了した」(堀田氏)と言うように、ニーズに合わせて組み合わせることで新たなソリューションを構成することが可能になる。堀田氏はこのことを「これからの企業システムは、分散でも集中でもなく、連邦(フェデレーション)化が鍵を握る」と表現した。既存システムをすべて廃棄してまったく新しいシステムを導入するのではなく、現存のシステムに必要な機能を加えながら統合することを目指していくことが、IT投資の健全な姿であると喝破、同社のソフトウェアビジネスを「現実に適応させる」(堀田氏)戦略にシフトし始めたのだ。
(編集局 谷古宇浩司)
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