IBMが他社ハードを用意したミドルウェア検証施設を開設
2002/12/12
日本IBMは異機種混在のオープン環境で、IBMのDB2などミドルウェアを使ったソリューションを開発したり、主要なハードウェアでのサービスの稼働実験ができるソリューションパートナー向けの検証施設「ソフトウェア・コンピテンシー・センター」(Software Center of Competency:SWCOC)を、東京・渋谷に開設したと発表した。IBMだけに限らず、さまざまなベンダのハードを用意して、IBMのミドルウェアをソリューションの“部品”として使ってもらう。
日本IBMの常務取締役 ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏 |
日本IBMの常務取締役 ソフトウェア事業部長 堀田一芙氏は「顧客がミドルウェアを利用するうえで重視するのは、第1にテクニカルサポートで、2番目がパートナーの力だ。SWCOCではサービスの付加価値となるソリューションをパートナーに検証してもらう」と述べ、SWCOC設立の意義を説明した。
SWCOCにはIBMのオープン系サーバのほかに、サン・マイクロシステムズやヒューレット・パッカード、富士通、NECなどのオープン系サーバを用意。富士通や日立製作所、EMCなどのストレージも利用可能。IBMのパートナーは無償でこれらのハードとIBMのDB2、WebSphere、Lotus、Tivoliなどのミドルウェアを組み合わせたソリューションを開発、検証することができる。IBMのエンジニアが約120人常駐し、パートナーに必要な技術支援をする。パートナーはサービス提供前にソリューションの稼働をチェックすることができ、高品質のサービスを顧客に提供できるようになるという。
IBMは、SWCOC開設に合わせて全世界のIBMソフトウェアの技術情報を、パートナー向けポータルを通じて初めて公開する。堀田氏によると「従来はIBM内部のエンジニアだけに公開されていた情報」だという。公開するのはソフトウェアに関するテクニカルサポート関連の資料で、設計アーキテクチャなどを記述した高度な技術ガイドの「Red
Book」や営業資料、ソフトウェアの不具合情報など。当初は英語版の資料を公開し、2003年以降は日本語資料も公開する。パートナーはテクニカルサポートの資料を参照して、最適なソリューションを効率的に構築できるようになるという。
IBMはパートナー向けのスキル育成にも力を入れる。経験の浅いエンジニア向けにIBMのミドルウェアを使ったソリューション開発のスキルや効率化、工数低減などを実現するセミナーを開く。1〜3カ月間、IBMがパートナーの技術者を預かり、IBMのエンジニアを一緒に仕事をこなすことでスキルを磨く「手練講座」も用意する。
堀田氏によるとIBMは東京・渋谷のSWCOC続き、2003年春には大阪・堂島に同様のソフトウェアの検証センターを開設する予定で、IBMはマルチベンダ、オープン環境でのパートナービジネスを推進する。
堀田氏はまた、IBMによるラショナルソフトウェアの買収について「ラショナルが幅広いプラットフォームをカバーしていることを評価した」とコメント。「IBMのソフトウェア事業が持っていないところを買収で補う」と理由を説明した。買収によってラショナルの中立性がなくなるのではないか、という懸念については「中立性を守れるかは、IBMのソフトウェア事業がオープンでいられるかの踏み絵。5つ目のブランドになるが、かなり自由にさせたい」と述べた。
(垣内郁栄)
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