ノベルのWebサービス戦略は競合との共存共栄

2003/2/21

 ノベルは、同社のone Net戦略に基づく新しい製品群「Novell exteNd」(以下exteNd)を発表した。発売は3月14日から。exteNdに含まれるのは、2002年7月にノベルが買収したシルバーストリーム・ソフトウェアの製品群で、同社にとって本格的なWebサービスプラットフォームへの進出となる。同社の吉田仁志代表取締役社長は、「ビジネスロジックがコードやプラットフォームにロックしている状態を変えなければならない」とWebサービスへの期待を語り、「セキュリティ、標準の実装、レガシーアプリケーションの統合など、Webサービスの課題に答えるソリューションをノベルはほぼ全部持っている」と、新製品群によって同社のWebサービス戦略が一気に前進するとした。

 exteNdの特徴は、Webサービス機能を短期間に開発運用するためのビジュアルな開発環境を備えていること。ドラッグ&ドロップを中心とした開発で、コードをほとんど記述せずにアプリケーションの開発が行える。また、3270や5250などの汎用機の端末画面をラップしてWebサービス化するだけでなく、CICS、JMS、MQ Seriesなどのメッセージング、SAPなどのアプリケーションなどもWebサービス化の対象にでき、システム統合やアプリケーション統合を容易にする。ノベルお得意のディレクトリサービスとの統合も行えるため、Webサービスとアイデンティティマネジメントの連携もできるという。

 こうした開発環境を提供するのが、「Novell exteNd Composer 4.1 Enterprise Edition」で、実行環境としてワークフローやルールエンジン、セキュリティなどの実行環境を提供するのが「Novell exteNd Director 4.1 Enterprise Edition」だ。これらはJavaで記述されており、「Novell exteNd Application Server 4.0」上で稼働するほか、IBMのWebSphere Application Serverや、BEAシステムズのWebLogic Server上で稼働することも保証されている。

 exteNdが他社のアプリケーションサーバ上でも動作する点は、すでにJavaやWebサービスの分野で存在感を示しているIBMやBEAシステムズとノベルが競合するのではなく、逆に彼らのインストールベースによりよいWebサービス環境を提供することで、共存共栄を図ろうという戦略を如実に示している。しかし、IBMやBEAシステムズも当然のことながら自社プラットフォーム上でのWebサービス環境を提供し、それを向上させていくことは明らかだ。ノベルの共生戦略がどこまで功を奏するのかは、同社が他社よりもどれだけ優れた環境を提供できるか、にかかっているだろう。

(編集局 新野淳一)

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