MSの企業向けIMサービス「グリニッジ」の可能性

2003/3/15

 マイクロソフトはコード名で「Greenwich」(グリニッジ)と呼ばれる企業向けのインスタントメッセージ(IM)サービスを今年6月にも提供する。グリニッジは企業でのIM利用の問題点の多くを解決すると期待されていて、マイクロソフトでは同社のグループウェアツールやOffice製品と連携させた利用を想定している。

 グリニッジは企業内でIMサービスを提供するサービスで、ビデオや音声のやりとり、ファイル交換などを可能にする。クライアントはWindows Messenger 5.0がグリニッジ出荷と同時に提供される。マイクロソフトのIMサービスはこれまでExchange Server上で動作していたが、グリニッジはWindows Server 2003のアドオンとして動く。MSN Messengerとの相互接続も可能にする。

 グリニッジと、マイクロソフトのこれまでのIMサービスとの違いは、グリニッジが企業で利用することを前提に作られたこと。Active Directoryと連動することで、シングルサインオンの認証機能を備える。テキストの暗号化機能や管理者によるログの保存が可能で、セキュリティが向上している。

マイクロソフトの製品マーケティング本部 Windowsサーバー製品部の内野彰氏

 マイクロソフトの製品マーケティング本部 Windowsサーバー製品部の内野彰氏はIMサービスについて、「現在は企業のシステム管理者が黙認した形で勝手に使われていて、セキュリティや管理性の問題がある」と指摘した。

 グリニッジのもう1つの特徴は、マイクロソフトがグリニッジのAPIをソフトベンダに公開すること。ソフトベンダはAPIを組み込むことで、別のソフトからユーザーの在席情報を確認できたり、メッセージを送信できる機能をソフトに盛り込むことができる。グリニッジはVoIPで業界標準になりつつある音声通信プロトコル「SIP」(Session Initiation Protocol)をサポートしていて、アプリケーションと音声の融合が可能になる。

 マイクロソフトでは今年第3四半期にも出荷する予定の「Office 11」にもグリニッジのAPIを組み込む考え。マイクロソフトは、グリニッジサービスのホスティング運営や、PDAなどにグリニッジのサービスを組み込むことも予定している。

(垣内郁栄)

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