“インターネットの父”が作ったネットワーク機器ベンダ
2003/4/1
カスピアンネットワークスのCEO ビル・クラウス氏。クラウス氏は3ComのCEOなども務めた |
米ネットワーク機器ベンダのカスピアンネットワークスは、ATMスイッチのQoS保証と、IPルータのコスト効果、拡張性などを兼ねそなえたフローベースルータ「Apeiro」を、国内で通信事業者向けに5月に出荷すると発表した。カスピアンのCEO ビル・クラウス(Bill Krause)氏は、「シスコシステムズがインターネットのこれまでの10年を担ってきたように、今後10年はカスピアンのフローベースルータが担うようになるだろう」と述べて、ネットワーク機器の先行企業に対抗していく考えを強調した。
カスピアンを創設したのは、同社CTOで、ARPANETの設計を行い“インターネットの父”と呼ばれるローレンス・ロバーツ(Lawrence Roberts)氏。カスピアンによると、フローベースルータは、「フローステート」アーキテクチャで構築され、トラフィックを通信事業者が定義できるフローに分解する。各フローの先頭パケットは最も負荷の小さいパスを経由してルーティングされ、それ以降のパケットはスイッチングされる。特定のトラフィックが別のトラフィックの帯域幅を奪わないようにし、通信の集中を防止。フローの遅延時間や遅延時間の揺らぎ(ジッター)を予測することができる。各パケットの順序を適正に保つことができ、ネットワーク全体のパフォーマンスを保証できるという。
カスピアンによると、従来のコアIPルータは拡張性やサービス保証で弱点があり、コスト効果が限られる。また、マルチサービススイッチは、サービスの確実性は高いが拡張性がなく、次世代のスケーラブルIPルータは「サービス保証機能の面ではまだ十分ではない」という。
カスピアンの副社長 ファイザル・ラカーニー(Faizel Lakhani)氏は、同社のフローベース技術について、「フローベースルータは、優先順位の低いトラフィックを別に用意したフローに移すことで、ネットワークのポリシイング、シェアリングを可能にする。帯域を使っているユーザーを特定して、別の扱いにすることができる。ATMスイッチのQoSとIPルータのコスト効果、スケーラビリティ、普遍性を実現できる」と説明した。
Apeiroを使うことで通信事業者は、エンドユーザーに対して、音声やビデオ、ゲームなど帯域保証が必要とされるサービスを、コストをかけずに提供できる。従来のIP/MPLSのバックボーンから、ATMとフレーム、VPNを統合した新しいIPバックボーンに移行することも可能だという。また、MPLSやBGP、IS-ISなど業界標準のプロトコルに準拠していて、シスコやジュニパーネットワークスなどのルータと完全な相互運用性を保証しているという。
クラウス氏は「フローベースルータは過去と現在の最もよい技術を採用した製品」と説明し、「今後、日本のサービスプロバイダにサービストライアルの実施を呼びかけていく」と述べた。Apeiroは、国内では理経が代理販売する。
(垣内郁栄)
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米カスピアンネットワークス
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