EIP、EAIを別々に用いてもビジネスは効率化しない

2003/5/13

 「ビジネスプロセスを変革するにはEIP(企業情報ポータル)、EAI(企業アプリケーション統合)、BPM(ビジネスプロセス管理)が層のようになったソリューションのアーキテクチャが必要だ」。デュオシステムズ 開発本部 バックエンドチーム シニアシステムエンジニアの牛山克彦氏は、日本ティブコソフトウェアとデュオシステムズの共催セミナーで、こう述べて企業の業務全体を効率化するための施策を説明した。

デュオシステムズ 開発本部 バックエンドチーム シニアシステムエンジニアの牛山克彦氏

 牛山氏は、経営、組織面での「解決急務なビジネス課題」として4つのIT課題を挙げる。4つとは、ビジネスプロセスをモニタリングして、業務がどのようなシステムでどう処理されているかがわかるようにする「プロセスの可視化」と、ビジネスプロセスを改善化して、リードタイムの短縮、ルーチンタスクを減少させ、創造的なタスクに時間を使えるようにする「プロセスの効率化」。それに変化が速いビジネス環境に合わせて、システム構築の途中でもデザインを変更できる「段階的システム構築」、企業間取引、企業の統合、分離など変化し続けるビジネスプロセスに対応する「将来の変化への対応」の4点だ。

 従来はこのようなビジネスプロセス改革の課題を解決する方法としては、「一枚岩な新規システムを開発するソリューションが多かった」と牛山氏はいう。一枚岩のソリューションは、新規でシステムを構築するため、どのようなカスタム化要件にもこたえられ、プロセスの可視化、効率化の機能も備えることができる。ただ、段階的構築が難しかったり、開発期間が長く、高コストになりやすい。何よりも将来のビジネスプロセスの変化に対応させるには、システム全体の作り直しが必要になり、「望ましくない」という。

 では、EAIやEIPを別々に用いたシステム開発でビジネスプロセスは効率化するか。牛山氏の答えは、「これだけでは課題をすべて満たすことはできない」だ。EAIは、一部のシステムを順に統合するなど段階的なシステム構築が可能。だが、業務プロセスが変更した際に、改変する部分が多くなり、高コストになる。EIPは開発期間が短く、知識共有、オペレーションレベルのシステム統合が可能だが、業務プロセスのモニタリングが難しい。

 牛山氏が説明する「EIP、EAI、BPMが層となったアーキテクチャ」は、これらの課題を理想的な形で解決するソリューションを提供する。ソリューションを一枚岩でなく、層として提供することで、変化に対して柔軟で、過不足な点をそれぞれのソリューションが補えるようになる。人の作業が原因のボトルネックがビジネスプロセスにあるなら、EIPの導入が有効。人が原因でないならEAIを使って作業を自動化し、システムのリアルタイム連携を実現するのが適切だという。また、プロセスのボトルネック自体が明らかでない場合は、長期的なプロセスの効率化を目指して、「BPMの導入でプロセスの可視化、モニタリングを可能にするのが有効」と牛山氏は説明した。

 ビジネスプロセスの効率化には、EAIを使ってデータを標準化することも重要だという。その際にはWebサービスやデータベースの活用が鍵になる。データを標準化することで、ビジネスプロセスの変更で、システムの一部を置き換えても、全体への影響が小さくなり、システムの機能追加が容易になる。

 牛山氏が説明した課題に加えて、実際にシステムを構築する際には別の課題が浮上することもあるだろう。だが、企業に対して、ビジネスプロセスの変化を迫る内外の要因は格段に多くなっている。EIP、EAI、BPMはビジネスプロセスの変化、効率化で大きな武器になるだろう。

(垣内郁栄)

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日本ティブコソフトウェア
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