急速に増えたオープンソース技術者、「スキルは高くない」
2003/6/24
「オープンソースの大多数のソフトは信頼性が低い。しかし、アパッチやLinux、sendmailなど信頼性が高いソフトが存在するのも事実」。財団法人ソフトウェア情報センターが6月20日に開催したイベント「オープンソースソフトウェアの動向と法的問題」で、三菱総合研究所の情報環境研究本部 情報技術研究部 数理解析技術チーム チームリーダー 主任研究員 比屋根一雄氏は、オープンソース開発についてこう指摘した。
三菱総合研究所の情報環境研究本部 情報技術研究部 数理解析技術チーム チームリーダー 主任研究員 比屋根一雄氏 |
比屋根氏はオープンソースの歴史的な背景や各国の取り組みを説明。「オープンソースソフトには大多数の信頼性が低いソフトと、少数の高信頼性ソフトが存在するといわれている」としたうえで、企業で現在使われているオープンソースソフトについては、「多くは高い信頼性がある」と述べた。企業におけるオープンソースの利用では、「サポートがない、サポートが打ち切られるのでは」という懸念も挙げられている。しかし、比屋根氏はシステム・インテグレータがサポートを始めていることを説明。「サポート打ち切りのリスクは、市販ソフトも同じ。オープンソースだから悪いことはなくなってきた」と述べ、サポート面で市販ソフトとオープンソースソフトとの差がなくなってきたことを強調した。
比屋根氏は一方で、Linuxなどで多くのディストリビューションが乱立、混乱していることについては、「はっきりいってそう」と断言。Linuxの標準化を進める「Linux Standard Base」などが統一化を進めているが、「まだ時間がかかりそう。どのディストリビューションを使うかは信頼できる人に聞くしかない」と語った。
比屋根氏が「最も心配している」と述べたのは、オープンソース開発やサポートの人材不足問題。欧州ではUNIXやWindowsからオープンソースの開発、サポートに移動したエンジニアも多いが、国内では数が少ない。比屋根氏は「国内でもオープンソースを開発、サポートするエンジニアは急速に増えてきたが、そのような人材のスキルはそれほど高くない」という。
オープンソースの利用にはまださまざまなデメリットがある。しかし、民主的な開発やコスト、セキュリティなど優れた面は多い。時間が解決するデメリットもある。企業でオープンソースソフトを使う場合は、メリットを生かす活用法が大事になるだろう。
(垣内郁栄)
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財団法人ソフトウェア情報センター
オープンソースと政府
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