資格もデフレ、ORACLE MASTERが10月に大改正

2003/7/1

 日本オラクルは同社のデータベース管理者向け認定資格「ORACLE MASTER」を10月1日に改定し、Silver、Gold、Platinumなどの資格認定を見直すと発表した。ORACLE MASTERを、オラクルがワールドワイドで展開している資格「Oracle Certified Program」(OCP)に対応させるのが改定の理由だが、改定前のPlatinum資格の必須科目は、改定後ではGold資格の必須科目になるなど、資格試験が1階層ずつ下がる内容で、受験者、保有者の混乱も予想される。

 現行のORACLE MASTERは3段階になっており、それぞれ必須科目がある。Silver資格は「Oracle入門」と「SQL」が必須科目。Gold資格は、「9i DBA I」と「PL/SQL」が必須。Platinum資格は、「9i Performance Tuning」と「9i DBA II」が必須となっている。

 改定後は、Oracle入門とSQLに合格したエンジニアには、新設される「ORACLE Silver Fellow」の合格証明書が与えられる。さらに9i DBA Iに合格した場合は、Silver資格が与えられることになる。そして、前3つの科目に合格し、9i Performance Tuningと9i DBA IIを受験して合格したエンジニアには、Gold資格が認定される。つまり、旧Platinumと同じ試験を合格しても10月1日以降は、1階層下のGold資格と認定されることになるのだ。同様に9i DBA Iに合格すると、従来はGold資格を取得できたが、改定後はSilver資格が与えられることになる。旧Silverは新設のORACLE Silver Fellowに対応する。

改定後のORACLE MASTER。クリックすると拡大表示されます

 そして新Gold資格の上位には、実技試験に合格することが必要な新Platinumが新設される。受験資格は、旧Platinum、または新Goldの保有者。日本オラクルのエデュケーションサービス本部 マーケティング部 担当シニアマネジャー 高松英彦氏によると、「これまでとまったく違うスキルセットが必要になる」という。

 改定後の各資格の正式名称は、Silver資格が「ORACLE MASTER Silver Oracle9i Database」、Gold資格が「ORACLE MASTER Gold Oracle9i Database」、Platinum資格が「ORACLE MASTER Platinum Oracle9i Database」になる。

 改定後の資格は、ワールドワイドのオラクル資格、OCPに完全対応させ、必須科目を統一する。新Silverは「Oracle Certified Associate」(OCA)に対応、新Goldは「Oracle Certified Professional」(OCP)に対応、新Platinumは「Oracle Certified Master」(OCM)に対応する。改定後に、現行のORACLE MASTERの資格保有者が申請すれば、OCMやOCP、OCAの対応する資格認定書を発行することを検討している。オラクルでは、旧Platinumの保有者が新Goldの資格認定を申請することも個別に対応する予定だが、見かけ上、資格がランクダウンするため、申請者はほとんどいないと見ている。逆に、改定後は同じ試験を受けてもSilverと認定されるため、旧Gold資格を取得する目的で改定前の駆け込み受験が増えることも考えられる。

日本オラクルのエデュケーションサービス本部 マーケティング部 担当シニアマネジャー 高松英彦氏

 今回のORACLE MASTERの大幅改訂は、グローバル資格に対応させるのが目的。高松氏は、「グローバルな一貫性と横軸を保つのが目的」と説明した。しかし、「1階層デフレーションになる改定」(高松氏)で、受験者、保有者に対してもインパクトが大きいと考えられる。ただ、注意したいのは、旧Platinumなどの従来の資格は10月1日以降も生き続けるということ。つまり、10月1日以降は旧Platinumと、新Platinumの保有者が並存することになる。旧Platinumの資格が剥奪されたり、自動的に新Goldに移行する、ということはない。オラクルでは各資格の正式名称を変更したり、エンブレムを変えるなどで違いをはっきりさせる考えだ。

 データベース関連以外の資格試験も変更する。アプリケーション開発者が対象の「E-Developer」、「Oracle Certified Developer」は、それぞれ「Silver Oracle9i PL/SQL」、「Gold Oracle9i Forms Developer」としてリニューアルする。グローバル資格の「Oracle9i PL/SQL Developer Certified Associate」、「Oracle 9i Form Developer Certified Professional」に同時認定されるようになる。データベース管理者向け新Goldから除外された科目のPL/SQLは、今後アプリケーション開発の「Silver Oracle9i PL/SQL」の必須科目として認定されることになる。ただ、まったく同一の問題ではないようだ。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料

[関連記事]
DB2の次はWebSphere、IBMのエンジニア育成支援策 (@ITNews)
VBAスキルを評価する新資格試験がスタート (@ITNews)
新資格制度を創設したMS、狙いは中小企業開拓か (@ITNews)
中小企業のパラダイムシフトを実現させる新資格 (@ITNews)
エンジニアに資格は必要か? シスコの新セキュリティ認定資格 (@ITNews)
OMGのUML資格試験プログラム、新規巻き直し (@ITNews)
XMLマスターにプロフェッショナル資格が登場 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)