CIOが無線LAN導入を決断する条件
2003/7/11
7月2日〜4日に開催されたNetWorld+Interop 2003 Tokyoの主役の1つは、無線LAN関係の製品だった。エンタープライズ向けからコンシューマ向けまで幅広い製品が出展され、新製品の発表も相次いだ。しかし、各ベンダとも他社との差別化に苦労しているのが現実だ。無線LANの通信規格自体は標準化団体が決めるため、斬新な新機能を追加するのが難しい。どのベンダも“どんぐりの背比べ”状態といえる。今回初めて無線LANのスイッチとアクセスポイントを発表した加ノーテルネットワークスは、通信の暗号化だけでなく、トータルでのセキュリティを強化した製品で市場を開拓する考えだ。
ノーテルネットワークスのプロダクト ライン マネジャー ラヴィ・クマール氏 |
同社プロダクト ライン マネジャー ラヴィ・クマール(Ravi Kumar)氏は、「無線LANの暗号化で一般的なWEPキーは、解読が可能。セキュリティ上の不安が大きい」と指摘する。「米国だけでなく世界で無線LANに関するセキュリティの問題が起きていて、CIOが無線LANの導入をためらっている」という。
ノーテルが発表した無線LANスイッチ「Nortel Networks WLAN Security Switch 2250」と、アクセスポイント「Nortel Networks WLAN Access Point 2220」は、無線LANの規格で一般的なIEEE802.11a/bの2方式に対応する。しかし、ノーテルはSSLコネクションや、IPSecトンネリングを可能にするハードウェアモジュールを搭載し、エンタープライズクラスのセキュリティを確保できるようにした。ノーテルはエンタープライズ向け無線LANシステムでは後発。だがクマール氏は「他社と同じ製品を出すつもりはなかった。15カ月かけてSSLコネクションや、IPSecトンネリングを使って、よりよいものにできないかと開発してきた」と述べた。ノーテルでは現在規格を策定中のIEEE802.11iにも製品を対応させる考えで、「有線と同じセキュリティを確保できるようになる」(クマール氏)という。
セキュリティに加えて、無線LANでどのようなアプリケーションを稼働させるかも差別化のポイントになる。単に既存のLANの代替としてデータ通信だけを行うのではワイヤレスの利点を生かしているとはいい難い。ノーテルでは無線LAN上で音声をやりとりするVoIPを研究している。無線LANで利用できる携帯型の端末については、シスコが発表済み。しかし、ノーテルは無線LANと携帯電話の両方の規格に対応する携帯端末用のクライアントソフトを開発していて、「今年後半に何らかの発表ができるだろう」(クマール氏)ということだ。また、PDA向けのVoIPクライアントソフトもベータテストを現在行っている。
クマール氏は「無線LANの今後はVoIPが鍵になる。レイテンシ(反応時間)の向上や遅延の解消、QoSの確保が重要」として、「ノーテルのソリューションチームがデータのネットワークと音声ネットワークの統合に取り組んでいる」と説明した。
(垣内郁栄)
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