[NetWorld+Interop 2003 Tokyo開催]
N+IはVoIPで電話を掛け放題

2003/7/3

■今年最大のトピックはVoIP

 千葉県の幕張メッセで2日から開催されているNetWorld+Interop(主催:NetWorld+Interop 2003 Tokyo 実行委員会)の展示会場で、最も盛り上がっていたトピックの1つが、VoIP(Voice over IP)だ。展示会場には「VoIP ShowCase」ブースが設けられ、NEC、シスコ、岩崎通信機、沖電気工業など13のベンダが参加しているほか、会場内の多くのブースでVoIPやIPテレフォニー関連の展示が行われている。

VoIP ShowCaseブースには数多くの参加者が詰めかけ、このテーマへの注目度を示していた。特に、各ベンダが行う技術解説や製品解説のプレゼンテーションへの熱心な参加が目立った

 こうしたVoIP関連の展示の盛り上がりは、エンドユーザーの立場からすると通信コスト削減の手段として期待されているためだが、一方で技術的な理由として、電話の呼び出しや転送、保留といった呼制御をIPネットワーク上で行うSIP(Session Initiation Protocol)の標準化が進んできた要素が大きい。SIPによって呼び出されたIP電話機が相手の電話機と接続すると、その間をVoIPによって音声が流れる、というのがIP電話のおおまかな仕組みだ。

 VoIP ShowCaseでは、こうしたSIPのやりとりを行うSIPサーバをNEC、沖電気、シスコの3社から調達、それぞれにSIP対応のIP電話機やTA(ターミナルアダプタ)を接続し、実際の公衆回線とつなげて通話する様子をデモンストレーションしていた。また、保留や転送といった基本的な電話の機能をSIPによる制御で実現したり、マルチベンダ環境での互換性検証の展示も行われている。

■IPセントレックスでコスト削減

 一方で、IPテレフォニーを推進する各ベンダのブースでは、ソリューション的側面の強い「IPセントレックス」というキーワードで多くの来場者の注目を集めている。IPセントレックスとは、いままで企業内に置かれていたPBX(構内交換機)機能をIP化して、キャリアにアウトソースすることだ。企業は高速なIP回線をキャリアと結ぶだけで、内線電話、外線電話、インターネット接続といったコミュニケーション機能を統合できる利点がある。

 しかしIPセントレックスを提供する各ベンダとも、標準仕様であるSIPを推進しながらもSIPの機能だけでは従来のPBX機能のすべてを置き換えることができないのが現実だ。

SIPサーバに接続された各社のIP電話。実際に内線や外線をかけることができ、基本的な機能ならばすでに十分実用範囲だ

 NTTコミュニケーションズが提供する「.Phone IP Centrex」は、音声とデータ通信を統合して全国一律の低額な内線通話料金を実現したうえで、代表電話などの豊富なPBX機能も同時に提供するサービス。多機能と確実な動作を保証するために、IP電話機も同社推奨機種を利用するのが前提だ。NECの「IParty Series」は、SIPサーバ、公衆回線とIPネットワークとのゲートウェイ、IP電話機、PC上でIP電話を実現するソフトウェアなどのラインアップだけでなく、インスタントメッセージなどで実現される在籍情報を管理するためのプレゼンスサーバなどがそろうキャリア向けの製品群。シスコシステムズは、さまざまなIP電話の端末機を中心に展示。同社の製品は豊富なIPコミュニケーション機能を実現するために、現状ではSIPではなく同社の独自のCallManagerを利用するようになっている。ただし新機種ではSIP対応のファームが用意されており、またSIPサーバとのゲートウェイなども用意され、SIP対応を視野に入れている。

 このほかにも沖電気工業、NTTコムウェア、フュージョン・コミュニケーションズなど、IPセントレックスやVoIPソリューションを紹介しているブースは多い。どのブースでもデモンストレーションとして公衆回線への接続を試せるため、会場では電話が掛け放題だ。

■SSL-VPNの4製品

 もう1つ地味ながら今回の注目はSSL-VPN機器だ。WebサーバとWebブラウザの経路のあいだにSSL-VPN機器を入れるだけで、WebブラウザのSSL機能を利用してVPNを実現できる。従来のWebアプリケーションが何の変更もなく利用できるため、手軽に使えて安全なアクセスを実現する手段として注目を集めている。

 展示会場では4機種を発見できた。テクマトリックスが扱う「Aventail EX-1500」、富士ゼロックスが扱う「Alteon SSL Accelerator」、NECが扱う「Array SP」、マクニカが扱う「NEOTERIS Access 3000 series」だ。説明を聞く限り、どの製品もパフォーマンスや実績が他製品との差別化のポイントだとしている。その中でAventailだけは最初にSSL VPNを実現した製品という点と、Windows専用のエージェントをインストールすることで、メーラーやftpなどのWebブラウザを利用しない環境でもSSL VPNが実現できるという特徴を持つ。

SSL-VPN機器。左上から時計回りに、Avantail EX-1500、NEOTERIS Access 3000 series、Array SP-C、Alteon SSL Accelerator

■資格試験の模試も会場で

最先端IT資格パビリオンで、模擬試験を受ける参加者。さまざまな分野の試験を数問ずつ体験できる

 IT系の資格取得のブースも2つ用意され、熱心に模試を受ける参加者が多かった。「SEA/Jセキュリティスキルチェックパビリオン」では、RSAセキュリティ、トレンドマイクロなど国内の主要セキュリティベンダが組織する「Security Education Alliance/Japan」の「情報セキュリティ技術認定 基礎コース」の簡単な模試(12問)をWebブラウザで試し、その場で得点が分かる。「最先端IT資格パビリオン」では、「シスコ技術者認定プログラム」「CompTIA」「.com Master」「オラクルマスター9iAS」「サン技術者認定資格」を数問ずつまとめて体験できるコーナー。記者は両方の模試に挑戦してみたが、どちらも合格ラインには達しなかった。

(編集局 新野淳一)

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Networld+Interop 2003 Tokyo

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